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株式会社Irohakids設立#2〈幼稚園教諭1年目の苦悩〉

どうぞ#1からご覧ください。

私の新卒1年目は、私立の一昔前の幼稚園で始まった。その時点で、周りから出遅れていたと今ならわかる。一昔前にいたら、未来をみるどころか、現在に追いつくことが、第一になるからだ。

そう、新卒から、1年目から、22歳から、ある意味私の人生は毎日勤務するというちょっとしたタイムスリップをする中で、”止まった”のである。

1年目、精一杯だった。3月31日まで学生という守られた環境にいた人間が、4月1日から社員として働く、そこまではいい。

4月7日になったとたん、子どもたちが24人「はい、この子たちがあなたのクラスです」とやってきた。担任したのは、年少の新入園児。こっちも新人、そっちも新人である。補助なし、私がどうにかするしかない。最初は保育室に収めるのも精一杯、というかそれすらできない。

今日から幼稚園だよ!と言われても、昨日まで家庭で安心して過ごしていた子ども達は知らない大人と幼稚園と呼ばれる場所に連れてこられ、穏やかなはずもない。担任の私はまるで「誘拐犯」と変わらない、一人泣く、伝染する、大合唱。

そんな大合唱の中、絵本を読んでみる、24人中2・3人見てればいい方、何だって大合唱の中ですもの、聞こえない。

手遊びをしてみる、3・4人見てるかな?でもやっぱり大合唱で聞こえない。

だけど、時間になったら朝の会、ご挨拶、季節の制作、お昼ご飯、帰りの会、バスで帰る子はバスに乗せる、やることは山のようにあり、”時間”という大人の都合のために子どもたちを何とか動かす。保育士というか、羊飼いに近い。

毎日、少しずつ子どもたちも慣れ、私もあの手この手で対応を変え何とか事故なく1日を終えられるようにだけ祈る日々だった。

保育士は肉体労働でもあり、頭脳労働でもあり、一番は感情労働だと言われる由来がこの1年目で深く理解できる。

感情のグラフがあるなら1日で1番HAPPYから1番BADまで行ったり来たりする、これが保育の現場である。経験を重ねれば、自己コントロールが効くようになるが、1年目は子どもの一挙一動にリアクションし、完全にリアクション芸人のように子どもたちにもて遊ばれる。(虫持った子に追いかけられたりね)

9時の登園から15:30の最後のバスが出るまで、目まぐるしく子どもたちと過ごす。そのあとは、会議をしたり、制作の準備に追われる。

16:30からの終礼、終わったら…帰れる。しかしこれがまためちゃめちゃ長い。終わりが見えない議論を「どうします~?」「こっちのほうが~」
「それ結論出ますか?」言えるようになったのは3年目ぐらいだろうか、年功序列文化のこの園で、新卒が言えるはずがなかった。

一度だけ1年目の終礼で、感情的になったことがあった。
この毎日の中、更にあれをやってほしい、これをやってほしい、という上司からの提案に「そんなこと言われても、こっちももういっぱいいっぱいなんですよ!!」と声を荒げた。

翌日違う上司から、「みんなのいる場であぁゆう言い方は…」と言われた。「すみません」と言いながら、「そうだよね、今いっぱいいっぱいだよね、あの人はあぁ言ったけど、あの仕事はこっちでやるから」と言ってくれたらどんなに楽だったか、と考えていた。

そしてこれをきっかけに、上司を信頼する、とか尊敬する、とかそういう視点がなくなった気がする。そして、部下ができても私は絶対にこうはならない、と思った(が、6年間新人は園に入ってきませんでした笑)。

最終的に1年目で一人で受け持ったのは、34名だった。

どんな状況でも、園児をとり続ける管理職。
個々のクラスでいっぱいいっぱいの上司、他クラスの担任。
新人が1番大変な役をやる、という非効率的な園の文化。

不信感しかない、そんな1年だった。幸い気の合う同期がいたので、その存在は本当に救われた。(後に一緒に共同経営することになる)


そして2年目、更に園に対して不信感が募ることが起こる。

つづきはコチラ

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