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個人輸入で金貨を輸入する場合の税金計算~新人通関士・咲良の解説 vol.2

~金貨にかかる輸入消費税の不思議~


~新人通関士、咲良が仕事で学んだ個人輸入の知識~
※金貨の個人使用計算ルールが認められるケース・認められないケースを学べます

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「咲良、君が学んだ通関知識を披露してもらう前に、金貨の個人輸入で苦戦したって聞いたけど、何があったの?」達也は興味津々で尋ねた。

咲良はため息をつきながら説明を始めた。

「金貨の輸入って、意外と難しいですよね?。まず、法廷通貨の輸入はできないのは当たり前として・・・私たちが扱うのは収集用のK24の記念硬貨、例えばメイプル金貨とかですよね」

「へえ、それでトラブルは?」達也が興味深く促した。

「今回、同じ人が2種類のメイプル金貨を輸入しました。一つは2020年製で50万円、もう一つは2000年製で110万円でした」

「ずいぶん値段が違うね。古いコインにプレミアがついたんだね」

「はい、でも問題はここからで、50万円の金貨には5万円の輸入消費税がかかったのに、110万円の金貨には6万円しか輸入消費税がかからなかったんです。」

達也は瞬時に「なるほど」という顔をしたがすぐに眉をひそめた。

「お客さんはその消費税の差に疑問を持ったんだろう?」

「はい、そうなんです。通常、輸入消費税は10%かかるのに、なぜ100万円の金貨は6%なのか、と。税関からは、50万円の金貨は個人使用ルールが認められないため全額の10%が税金としてかかり、一方で100万円の金貨は個人使用ルールが適用されて、その60%に10%の税率が適用されたから、という回答が来ました。」

「なるほど…それはレアなケースだね(笑)。今、金の相場が1グラムあたり11,000円だから、メイプル金貨の金としての純粋な価値は342,100円になる。50万円で個人使用ルールの0.6をかけると、実質価値が相場を下回るから、個人使用ルールを適用して税金を安くできないんだね。」達也は事もなげに即答した。

咲良は”さすが”とうなずきながら続けた。「そうなんです。同じ人が輸入しても、硬貨ごとにルールが違うから、お客様に納得してもらなかったんです。税関に交渉してもダメでしたし…」

達也は笑った。「そりゃそうだろうね(笑)」

しかし、咲良は笑えない。

「笑い事じゃないです…。お客様は納得してくれなくて、本当に大変でした。でも、自分も説明不足だったかもしれません。最初からしっかりと説明できていればよかったです。」

咲良は反省しつつ、収集用金貨の輸入における税金の計算方法を整理し、その複雑さを再認識した。

金貨の個人輸入の税金計算ルール(Point)

金貨の個人輸入では、金貨の重量と金の市場価格を把握し、その価値を計算する必要がある。つぎに金貨の価格と金の市場価格を比較し、その金額が金貨の価格の60%を超える場合、個人使用ルールが適用される。

このプロセスは確かにややこしい。

「個人輸入だと税金が安くなるって、この会社に入るまで全然知りませんでした。通関士の試験に合格していても、実務で遭遇するこのような細かいルールは、まるで秘密のルールみたいですよね。」咲良は思いを馳せた。

達也は微笑んで咲良を励ました。

「個人輸入の税金が安くなる仕組み、理解してるんだろ?、ぜひ分かりやすく聞かせてよ。」

咲良は頷き、備え付けのホワイトボードへ足を進めていった。

つづく


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