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服をつくるってどうやるの? 〜生地選定の心得〜

どのようなアイテムが作りたいかが決まったら、どんな素材・資材でつくるかを決めていきます。
アイテムの印象を最も左右するものは表地、つまり生地です。
生地屋さん(テキスタイルコンバーターなど)にどんなことを伝えればイメージに近しい雰囲気の生地を送ってもらえるかを基準に、生地選定を依頼する時に気をつけていることなどをまとめます。

これはあくまでもリスク生地…つまりは生地屋さんが在庫をしている生地を購入する場合です。オリジナルでゼロから作るバイオーダー(別注)とは勝手が違います。
はじめてものづくりをするにはバイオーダーはハードルが高めなので、まずはイメージに近い生地を探すところからはじめると良いと思います。

基本的には国内の生地屋さんとやりとりをする前提で書いていますが、海外の工場さんに依頼する場合も近しい内容で依頼出来るはずです。
新規の場合、口座を開いてもらうことが出来ないこともありますので、お取引を希望される場合は詳しく問い合わせてみてください。

依頼内容を定める

1)ブランドコンセプト・ブランドイメージ
2)生産したいアイテム
3)素材名
4)販売予定シーズン
5)風合い
6)コスト感

この辺りを気にしながら伝えるとGOODです◎
要素は多い方がターゲットを絞りやすく、当たりやすいです。
一度でイメージに近づけるためなので、出来るだけ濃い情報を共有しましょう。

絞る理由は、リスク生地は本当に膨大にあるので、ぼんやりとした情報で集めてしまうと、選びきれなくなってしまうんです。
特に手のひらサイズほどの生地見本と、500円玉ほどの色見本がついているスワッチ(見本台帳)がほとんどなので、慣れるまではとても大変です。
もし東京・大阪近郊にお住まいで、足を運べるようであれば、各社のショールームへお邪魔して、実物を見せてもらうのもいいかもしれません。
(直接の取引でなくても、どこから仕入れるのかが分かれば対応してもらえることがあります。)

1)ブランドコンセプト・ブランドイメージ

新規のブランドであれば、ブランドのお客さん=ユーザーのセグメント(キャリア・ミセス・メンズカジュアルなど)や、ブランドのイメージ…可愛い系とかカジュアルとか、具体的な販売チャネル…例えば百貨店、SC、ECとかを共有します。
ブランドのイメージは選定する生地の雰囲気に跳ね返ります。
販売チャネルの共有は、予算感や生地データの正確性など、クオリティの部分に反映されます。
もしイメージが伝わるマップがあれば共有します。ホームページやSNSなどでもあれば良いですが、これからのブランドであればコンセプトマップなどがあるとコミュニケーションが取りやすくなります。
うまく伝えられそうになければ、◯◯というブランドに似ていますとか、そういう情報でも良いです。

2)生産したいアイテム

何に使うのかは重要なので、具体的なアイテム名を伝えます。
一般的にそのアイテムでは使わないよね?という生地を使用したい場合は、意図を伝えるようにしてください。

3)素材名

具体的な素材名が分かればそのまま伝えます。
わからなければ写真で伝えても大丈夫です。生地屋さんもだいたいわかってくれます。
見本品があれば実物を送って、似てるものを探してもらうのが簡単ですが、生地名を覚えられるとWEBで探す時にも困らなくなります。
たくさんスワッチを見て覚えるしかないので、実物を触ってみて、用途と名前、組成(混用率)を吸収し、特徴を覚えていってください。

4)シーズン

例えば同じ無地のチノパンの生地を選定するとしても、2〜3月の春立ち上がり・6月セール直前・寒い11月に店頭だとすると厚みや色の提案が変わってきます。
春なら明るめの色展開でしっかりしたもの、夏なら薄手で浅い色の涼しそうなもの、冬なら全体的にトーンを抑えて表起毛がいいかな、なんて具合です。通年で利用するユニフォームであればまた違った提案になるはずです。
季節のある日本では、特にこのシーズンに乗った提案がまだまだ必要です。(温暖化でどんどん厚モノは売れなくなってますけどね。)

5)風合い

厚みや触った感じの柔らかさ、擬音で説明するような表面感などを説明します。
薄手のワンピースの生地を探しているとして、シャキッとしてるのか、とろみがあってふんわり柔らかいのか、伸縮性があるのか…など、思いつく限りの雰囲気を伝えます。(海外の方に擬音は伝わらないので、実物を送り込む必要があります…。)
希望の色や柄があるのであればそれも忘れずに。

6)コスト感

製品上代をいくらに設定したいか?から逆算して1mあたりの単価はいくらまでならハマるか?を計算していきます。
生地資材でいくらくらいで抑えなくてはならないか、用尺はどのくらいかかりそうなのかなどを踏まえて予算を伝えます。

個人でも購入出来る生地屋さんは?

廣瀬さんがpaclaをはじめる時にたくさん調べていたらしく、オススメをしてくれました。

ソールパーノを運営しているのは繊維商社のサンウェルさんなので、一般的なブランドさんが使われるような生地はかなり揃っていると思います。
特徴としてはどちらかというとレディース向けなので、風合いやカラーも女性的なブランドさんには合うと思います。

オーガンジー・チュールなどを取り揃えられています。
一般的な手芸屋さんで取り扱われていないような風合いのものも扱っていますし、生地スワッチも購入できます。

https://www.kijinomori.com/

生地の森さんはナチュラル系のブランドさんにぴったりですね。生地の風合いもかなりきれいな写真で表現されているので、選びやすいと思います。

丸井織物さんが運営しているテキスタイルモールもファッションブランドとお取引のある生地屋さんの取り扱いがとても多いです。あ、こんなのも仕入れられるんだ!というような物も多くありましたので、お探しのものが見つかるかもしれません。

わたしが学生の頃からあるテキスタイルネットは、最近商社の豊島さんが運営するようになったようですね。ここも同じくプロ使用の生地屋さんを多く取り扱っています。

生地の合同展示会などで探すのもいいかもしれません。(今後どのような運営をされるのかはわからないのですが…)こちらは商談展示会なので、きちんと取引する気持ちを持って臨んでみてください。

それから、生地についてもっと詳しく学んでみたい!という方には産地の学校をオススメします。

服づくり現場の教科書のカリキュラムに生地についてを入れていないのは、これだけ素晴らしい学校をすでにやってらっしゃるところがあるからです。
産地の学校は生地屋さんの向こう、生地の工場である機屋(はたや)さんなどが直接講義してくださるので、相当リアルに学べると思います。
今年のコロナの影響を受けてyoutubeでウェブ工場見学なども展開されていますので、深堀りしたい方はぜひ見てみてください。

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