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Column_s#9 おすすめ鬼ごっこ②「ケイドロ」


 休み時間の子どもの遊びの“ド定番”といえば・・・それは、今も昔も鬼ごっこ。私が現職時代に、よく子どもたちと行っていた鬼ごっこの紹介シリーズです。


おすすめ①「増やし鬼」はこちら

おすすめ③「氷鬼」はこちら

おすすめ④「手つなぎ鬼」はこちら

おすすめ鬼ごっこ②「ケイドロ」

 ちなみに、「ケイドロ」「ドロケイ」の種類の呼び名があります。みなさんの地域ではどちらの名称を使いますか?全国的には「ケイドロ」の方が多いようですし、首都圏では「ドロケイ」が多いという情報もあります。「助けオニ」という名称を使う地域も一部にはあるようです。(本記事では、「ケイドロ」で進めますね。)

ルールは?

◆鬼(警察)は、逃げている人(泥棒)を捕まえます。

◆タッチされた泥棒の子は、「牢屋」(どこか、自分たちでちょうどよい場所を決めておいて)に入ります。

◆牢屋の中で、同じ泥棒の仲間が助けに来てくれるのを待ちます。助けに来てくれた泥棒仲間にタッチしてもらえた子は、再び自由の身になることができます。牢屋から逃げ出せるのは、あくまでタッチしてもらえた人だけです。

この鬼ごっこのよさは?

◆まず、楽しいというのが一番です。何だか知りませんが、私の担任した子たちはみなケイドロが大好きでした。何がそんなに楽しいのかを分析するに、やはり牢屋の子たちを助ける瞬間に魅力が凝縮されているのですね。鬼(警察)の目をかいくぐり、仲間が一斉に逃げ出すあの瞬間!「自分の力で友達を開放した!」という高揚感があるのです。反対に鬼(警察)の子は、「あと少しで全員牢屋…ドキドキ」と、泥棒の確保が順調に進めば進む程、緊張感が増してきます。

◆増やし鬼に比べて、「どうやって助けようか?」「誰が、どこから助けに来るか?それをいかに捕まえるか?」といった、鬼対泥棒の駆け引きが生まれ、お互いに戦略を練って遊べるのもケイドロの魅力の一つです。

この鬼ごっこのポイントは?

◆ケイドロにも、よくもめるポイントがあります。これらが分かっていると、

「〇〇君はやんちゃで言葉遣いも普段はよくないけど、牢屋では友達を選ばずみんなを助けようとしている。公正な態度で遊べるのは素晴らしい!」
「△△さんは友達に自分から声を掛けて助けにいくのか…教室ではなかなか見ない姿だけど、案外リーダーシップがある子なんだなあ。」
「この子は実は人の見ていないところでルールを破りがちなのかも…」

など児童理解を促進することにつながります。あるいは、その後の学級指導や、遊び方の改善(ルールを増やす)といったことを見すえて、目の前の現象を捉えることができるのは大きいのです。

◆1つ目は、タッチしていないのに勝手に牢屋から抜け出す子がいること。泥棒が仲間の誰かの解放に成功した際は、「わーっ!」と一斉に逃げ出すのですが、助けてもらっていない子もつい便乗して逃げてしまうのです。鬼(警察)の子の「タッチしてないよー!!」という声が、体育館やグラウンドに、無情に響きます。

◆2つ目は、捕まった振りをして牢屋にもぐり込む子がいるところです。そして、鬼が見ていないすきにこっそりタッチして、仲間を開放させます。このスパイみたいなことを「OK」とするルールもあるのですが、正式なスパイではなく、中にはただ捕まっているだけの子が、「僕はスパイなんだよ」という振りをして勝手に泥棒を開放してしまうことがあります。そこでもめます(笑)。ケイドロの特徴として、助かったと思った泥棒の子が一旦自由の身になってしまうと、いくらルール違反だった場合でも、もうどこかに逃げてしまっているので戻ってこないというパターンが多いです。鬼(警察)が泣き寝入りするポイントなのですね。

◆3つ目。この鬼ごっこの大きな特徴として、「警察/泥棒のどちらも100%満足」が難しいという点があります。警察からしてみたら、全員を牢屋に入れて全滅を目指すのが最終ゴールです。そのために、牢屋の前に何人も守り専用の人を配置しようとします。しかし、泥棒からすると、そんな風に守りを固められては絶対に助けられないので、「牢屋の前で守る人は1人だけ!」とかいうルールを追加しようとします。一方警察からすると、それでは同時多発的に助けに来られた場合対処できませんので、受け入れがたいルールです。「守るのは2人!」などと、守る人数の駆け引きが必ず起こります。

◆しかし、仮に守る人が2人だったとして、もしそれで全員捕まってしまった場合、泥棒側からすると「守る人数が多すぎる!1人にして!」と不満が出ます。逆に、2人守っていても泥棒達が来て次々と脱獄を許してしまう場合、警察側からすると「守る人数が足りない!3人にして!」と不満が出ます。その折り合いがなかなか難しいのです!

と、いろいろともめながら「あーだこーだ」と言いあいながらも、子どもたちは人間関係を学んでいくのですね。トラブルを避けるというのは実は適切な考え方ではなくて、トラブルを学びの機会とする、という意識で子どもたちと接し、子どもたちと集団の凝集性を高めていくのがとても大切です。

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