離乳食の意味について考えてみる
こんにちは。
イロドリ言語聴覚士・愛さんです。
本をいつか出したくて始めたnoteですが、一番ご要望があるのが「離乳食の進め方について」を書かれた本を出して欲しいというご要望。
イロドリのメニューにもある、お母さんの勉強会のオンラインでの講座、対面での親子教室・離乳食クラスがありますが、それをおこなうと「早く本を出してください!」と言われることが多いので、少しずつ記事にまとめていきます。
離乳食って何のため?
皆さんは離乳食が何のためにあるのか、考えたことはありますか?
イロドリではいつもお母さんに聞きますが、みなさん「そういえば、考えたことなかった。」とおっしゃいます。
きっと離乳食で苦しくなっているお母さんは、「量を食べないと栄養が足りなくなる」と”量”を食べるかどうかにすごく注目しているかと思います。また、体重などの増えが悪くても「離乳食を早く進めてください」と指導されたと話もよく聞くので、なおさら量に注目してしまうかもしれませんね。
でも、発達には個人のペースがあっていいよって言われるのに、離乳食になると途端に月齢通りに進めると言う謎の暗黙了解的な空気があって。私はいつもこれが不思議でたまらないのです。離乳食にだって個人差があっていいじゃないか。
離乳食は「たくさん食べるほうがいい」=「量」に注目されがちですが、
離乳食の本当の意味って
大人の飲み込みなるための練習
なのです!!
こうやって捉えて進めてもらうと、量にとらわれず、月齢にとらわれず、大変だなと思うことなく進めることができます。
赤ちゃんの飲み込みと大人の飲み込みの違い
離乳食が大人の飲み込みなるための練習ということは、「赤ちゃんの飲み込みと大人の飲み込みって違うの?」という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
さすが、鋭い。正解です!
赤ちゃんの飲み込み方と大人の飲み込み方は全然違います。
赤ちゃんは
・反射を使って乳首をお口に取り込みます。
・上下の唇は閉じずに乳首に吸い付きます。
・舌を前後にしごいておっぱいやミルクを吸います。
・重力によって喉の奥におっぱいやミルクが落ち込んでいきます。
・喉の近くおっぱいやミルクが落ち込むと嚥下反射が起こります。この時、ほとんど息を止めずに連続でコクコクと飲み込むことができます。
大人は
・食べ物を認識してお口へ運びます。
・食べ物を噛み切ったり、お口の中へ入れて取り込みます。
・唇を閉じて舌が複雑な動きをして咀嚼をしていき、食塊を作ります。
・舌をお口の天井にくっつけて、舌の真ん中の通り道に食塊を口の前の方から喉の方へ送っていきます。
・食塊が喉に近づくと嚥下反射が起こります。この時、誤嚥しないため(気管に入らないようにするため)、息止めて飲み込みます。(飲み込んだあとすぐにはぁっと息を吐きます。)
というように、飲み込み方が全然違うのですね。
離乳食はこの赤ちゃんの飲み込み方を大人の飲み込みかたへ近づくための”練習”です。
あくまで練習なのですから、自転車の練習でみんな同じペースで進まないのと同じで(小2の娘、まだ補助輪が取れません。。)、離乳食の進み具合もお子さんそれぞれで違っていいはずなのですね。
離乳食が終わるまで、おっぱいやミルクは欲しがるだけあげていいとなっているのも、離乳食で栄養を十分に取ろうというのは無理だからなのですね。
それを知っていてもらえるだけでも、丁寧に進めてあげようという気持ちになるのではないでしょうか。
喉の構造も変わってくる
では、なんで大人と赤ちゃんの飲みこみが違っているのか、気になってくるところではないでしょうか?
赤ちゃんの喉の位置は大人の喉の位置に比べて、高い位置にあるのです。
赤ちゃん時って、泣いたり、喉を鳴らしたり、単純な声しか出せないですよね。それが成長するにしたがって、母音が出せたり、マンマンマンと声が出せるようになってきます。そして歩く頃には言葉がしゃべれるようになります。
これにはいろいろなことが関わっていますが、喉の構造も関わっているのですね。
生後4ヶ月をすぎると喉の位置がだんだんと下がってきて、大人と同じ位置になるように近づいてきます。そうすることで、いろんな声や音が出せるよになります。そして、離乳食が進みどんどん喉の位置が下がっていき、体も発達してくることで、歩く頃には言葉がしゃべれるようになってきます。
喉の位置が下がって言葉を発することができるようになりますが、逆に飲み込むときは誤嚥をしやすい構造になってしまうのです。
なので、大人と同じように息を止めて誤嚥をしづらい飲み方を覚えていく必要があるのですね。
こう考えるとお子さんのペースに合わせて進めてあげた方が、飲み込みも上手になると考えられますよね。
唇と舌の動きを発達させるのが離乳食では大切
そして何より大切のなのが唇と舌の動き。
おっぱいやミルクを飲むときは、上下の唇が開いた状態で乳首へ吸い付き、舌が前後へ動いてしごいていました。
でも、大人と同じものを食べられるようになるには、唇と閉じて、舌が前後上下左右にねじれる動きなども伴いながら複雑に動いて咀嚼して食べなければなりません。
これをごっくん期、もぐもぐ期、かみかみ期、完了期を通して一つずつスモールステップで獲得していきます。
だから、お子さんのペースを見てこの辺をしっかり獲得していった方が、大きくなった時の食べることへの困りごとが減っていきます。
大きくなったら噛めるようになるというのは、大きな間違い。離乳食でしっかりと噛める口を作ってあげるから、大きくなった時にしっかり噛んで食べれるようになるのです。
というように、離乳食にちゃんと意味があって、一つずつ丁寧に進めていく必要があるのですね。
量を食べないからといって焦るのではなくて、今どんなお口の段階でどんなもので練習してくのがいいのかというところが大切になります。
今は、お口の機能から見た離乳食の進め方をアドバイスしてくれる人が増えてきています。(医療にも民間にも。)
困った時に「量を増やして」「早く進めて」などのアドバイスではなくて、「今お口の動きがこうだから、こんな食材でやってみて」など、具体的なアドバイスをしてくれる人を探すと、離乳食を楽しく進められると思います。
ぜひ、そんな前向きなるアドバイスをしてくれる専門家を見つけてみてください。
離乳食のご相談はイロドリでも受け付けております。オンラインの相談も可能ですので、全国どこからでも受けていただけます。困ったことがあったらご連絡くださいね。
それでは、また続きはかける時に書きますね(^^)
サポートありがとうございます!いただいたサポートはイロドリでのお子さんの支援に使う教材購入にあてさせていただきます。