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あの宰相閣下が私に求婚ですって!?|TL小説『宰相閣下の溺愛に雇われ妻は気づかない』



国境付近にある小さな領地を治める、フレーリッヒ男爵家の娘・アニエスは、王女の、元近衛騎士だった。

父が急逝し、没落寸前であった男爵家を少しでも助ける為に、16歳のアニエスは王立騎士学校へと進学し、しかも首席で卒業をし、19歳で王女の近衛騎士に任命された才媛だった。

しかし、24歳の今。
ある事件の責任を取る形で近衛騎士の職を辞して、領地に帰ってきた。

娘の若い時を犠牲にしてしまった、と悔やむ母は、アニエスに今からでも女性らしく振る舞い、良き伴侶を得て欲しいと願う。

「何度も言うけれど、貴女はもう騎士ではないのよ。もうそんな恰好はやめて、ドレスを着てちょうだい。化粧だって覚えて髪だってもっときれいに結うべきよ。もっと女性としての楽しみを覚えてほしいの」
「……今さらよ。貧乏貴族のうえに行き遅れ、それも近衛をクビになった元騎士なんて女と結婚したがるような男なんていないわよ。まだまだ我が家も落ちつかないのに、私だけそんな楽しんだりできないわよ」

『宰相閣下の溺愛に雇われ妻は気づかない』

アニエスは今更、自分自身にそんな未来を描けず、領地で家族を支えて生きていくのだろうと思っていた。

しかし、母は驚きの事実を伝える。

「喜びなさい! 縁談の話が来たの! それも王都に住まいのある伯爵家からよ」
「えええ!!」

『宰相閣下の溺愛に雇われ妻は気づかない』

王都で働く娘を見て見初めたのね、と喜ぶ母に、アニエスは一体どこの物好きだ? と首を傾げる。

そして、母から縁談を申し込んできた人物の名前を聞いて更に驚いた。

「嘘でしょう!?」
それは近衛騎士時代に嫌というほど顔を合わせた上司であり、ある意味では天敵であった男性の名前。
同姓同名であればと一瞬願ったが、嫌味なほどに整った署名の筆跡や、刻印された家紋を見間違えるわけがない。
「あの宰相閣下が私に求婚ですって!?」

『宰相閣下の溺愛に雇われ妻は気づかない』

第二回ジュリアンパブリッシング恋愛小説大賞銀賞受賞作品

著者は マチバリ
TL小説、女性向けライトノベルを中心に活動されている作家さんです。
比較的、執着系?なヒーローを得意とする印象があります。
ご本人曰く“ヒロインに出会わなかったら破滅まっしぐら! なヒーローが大好き”とのことなので、執着というよりは、情熱的、と言った方がいいのかも。
本作は第二回ジュリアンパブリッシング恋愛小説大賞銀賞受賞作品。

本作の他にも、コミカライズされている作品も多くあり、人気作品が多数あります。
個人的には『転生令嬢は腹黒騎士に攻略される』や『不器用すぎる年下騎士は没落令嬢を溺愛したくてたまらない! 』も面白かったです。

出版社は ジュリアンパブリッシング

掲載誌・レーベルは ロイヤルキス

発売は 2022年10月


好きな設定全部乗せ!

個人的には、好きな設定全部乗せ!みたいな内容でとても楽しめた作品でした。

そもそも、女騎士のようにアクティブな主人公に、頼りになるサポート役の男性って構図が好きなのよ。

まあ、あと“契約結婚”とか、もうこのジャンルに限らず女性向けラブストーリーにはお約束な、みんな大好きなファクターでしょ。

お仕えしていた王女様の危機に、側に行きたくても行けないアニエスにドミニクが

「だが、宰相の妻ともなれば話は別だ。ヘンケルス伯爵夫人であれば王女殿下の相談相手として城に上がることができる」

『宰相閣下の溺愛に雇われ妻は気づかない』

と、王女との面会を餌に結婚を取り付けようとしたり。

王女の為に結婚したはずが、あれ? あれ? って展開はわかっていても楽しい。

難を言うのであれば、せっかくストーリーが面白いのに、おそらく連載作品だったからか、ベッドシーンが多く、そっちにページ数が割かれてしまっていたこと。

ジャンル的に仕方ないけど、面白い作品ほど「そこ端折って、もっと色んなエピソード入れて!」と思ってしまうジレンマ。

そして、アニエスの女騎士らしいエピソードが少なかったことでしょうか。
設定として、もう辞めてしまっているので、これもなかなか難しいところですけど。

いや、それでも充分楽しめた作品でした。
コミカライズしてくれないかな。マンガでも読んでみたいな。


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