見出し画像

7月21日 失われた愛を求めて

バチェロレッテ第一話を観た。

バチェロレッテである尾崎美樹は学生時代に美容ブランドを立ち上げ、現在はコスメブランドと美容メディアの運営をしている会社の代表取締役をしているらしい。

尾崎美樹は、バチェロレッテにおいて自分の「鎧を脱ぐ」ことを目標とする。会社の経営者として、強く生きていきたが、反面自分の弱さを見せることはしなかった。自分の強きも弱きも受け止められる男性を求め、今回のバチェロレッテに身を投じることにした……ようである。

バチェロレッテも、男性陣もみな、変人ばかりだと思う。その変な感じを誰も疑問に思うことなく番組が進行してゆくから、全体的にすごく歪な感じがする。
「真実の愛」を求めた結果が、この番組に行き着くのだろうか。

その言いようもない違和感が表出したのが、第一シーズンだったのではないか。今シーズンではどうなるのだろうか。

ちなみに漫画『推しの子』ではこういった恋愛バラエティにまつわる回があって、これが面白い。

面白いと書いたけど、内容はあんまり覚えていないな。単純に読んだのがけっこう前だったからだが。最新刊も買っていないしそろそろ買うか。『チ。』も完結したし、全巻買おう。

今日は『商標・意匠・不正競争判例百選』を紹介しよう。
言うまでもなくこれは大学時代に使っていたものだが、最近読みたくなることが多くなったので、とりあえず家に持ち帰ってきた。

判例百選とは、その法律の重要な判例が一挙にまとめられているものである。一つ一つの事件に対して、見開きで左ページが事件の概要、判旨、右ページがその事件の解説が書いてある。非常にコンパクトかつ、的確な解説が付されているので、とても参考になる資料である。

ちなみに、「百選」と銘打っているが、全く100に収まりきっておらず、100を優に超える事件が収録されている。本書では、合わせて119の事件が載っている。ポケット六法ともども、景表法で訴えられるのも時間の問題であろう。

判例百選は面白い。法律書というのはだいたい無味乾燥とした記述の羅列にすぎないが、判例では現実の息吹が感じられる。

どういった事件があるか、軽く見てみよう。

ユニットシェルフ事件(知財高裁平成30年3月29日判決)

〈事件の概要〉
X(原告)はX運営の店舗等において、ユニットシェルフを販売している。Y(被告)はYが運営する店舗等でユニットシェルフを販売している。Xは、X商品の形態が周知の商品等表示に該当し、Y商品の販売は不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たると主張して、Y商品の譲渡等の差止めおよび廃棄を求めた。
原審はXの請求を認容、Yはこれに対し控訴。X商品の形態の周知性に関して20代から40代の一般消費者を対象とした識別力調査と、Yの取引先5社の担当者10名を対象とした識別力調査を実施、その結果を控訴審に証拠提出した。(Yの実施した調査では、Xの商品は「Xの商品である」と識別できなかったという結果になったようである)

〈判旨〉
高裁では、これに対して控訴棄却する。
Yの実施した調査について、「Y商品及びX商品が金属製のユニットシェルフの家具であって、一般消費者が卒然と購入に至るような性質の商品でないことを考慮」して、Y調査における対象者が単に20代から40代の一般消費者にとどまり、実質と離れていること、また、質問内容が適切なものでないことから、Y調査が周知性を否定する証拠として適格でないと判断した。

〈解説〉
今回の争点となった識別力の有無というのは、不正競争防止法2条1項1号の要件に由来する。

不正競争防止法2条1項1号の条文は以下のとおりである。

「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」

周知表示混同惹起行為、あるいは単に混同惹起と称されることが多い。
ながながと書いてあるが、要するによく知られている商品と似たような商品を売ったりするとそのもともとよく知られていた商品と混同が生じて、不利益が生じるからよくないよね、ということで設けられた条文である。

2条1項1号に該当するためには、当該商品が「商品等表示」に当たらなければならない。そしてその「商品等表示」は「商品の形態が客観的に明らかに他の同種の商品と識別し得る顕著な特徴を有し、かつ、その形態が特定の事業者により長期間独占的に使用されるなどした結果、需要者においてその形態が特定の事業者の出所を表示するものとして周知されるに至れば、商品の当該形態自体が『商品等表示』になり得る」として、①特別顕著性、②周知性の二要件が充足されたときに該当するとされる。

周知性は「使用による識別力」でもあると言える。識別力を有しているなら、周知性も満たされるということである。

周知性の立証にはさまざまなものが証拠として用いられるが、その証拠の一つにアンケートの結果が挙げられる。
アンケートの証拠価値評価にあたっては、「社会調査としての妥当性・信頼性を備えているか」どうかが問われることになる。
具体的には「判断主体たる『需要者』に整合的な母種団が設定されていること」(母集団の選定)、「標本抽出法が適切で、母集団の代表性が確保されていること」(代表性)、「質問内容が適切で、誘導的でないこと」(質問内容の適格性)、「社会調査の専門家により適切な手順で調査が実施されていること」(調査手順の適格性)、「収集されたデータが正確に報告されていること」(データの正確性)、「統計学の手法に則ってデータの分析がなされていること」(適切なデータの分析)、「調査全体の客観性を担保するための配慮がなされていること」(客観性の担保)等が考慮要素となる。

本件は、以上に挙げた証拠価値評価に照らし合わせて、母集団の選定及び質問内容の適格性に問題があったため、証拠として認められることはなかった……というわけである。

裁判において、アンケート調査が証拠として活用されることもあるというのを知れる事件だと思い、紹介した。(証拠として認められていなかったけど……)

とはいえ、不正競争事案において、アンケート調査は有用性があるにも拘らず現時点ではあまり活用されていないようである。調査手法が確立されていないこと、証拠価値評価も実はそこまで定まっていないことが要因としてあるようだ。

実は不正競争防止法に限らず、このような需要者の感覚(?)が問題になるような事案というのはあるのだが、需要者自身の声を証拠として参考にされることは寡聞にしてあまり見たことがない。もっと普及すればいいのに、と大学生のときに思っていたことをいま思い出した。

(引用:井上由里子「周知性とアンケート調査――ユニットシェルフ事件」別冊ジュリスト248号134頁(2020))

いま気づいたけど著作権法判例百選持って帰ってなくね?というかどこに行ったんだろう。著作権法判例百選のほうが面白いのに……。ミスった。

無駄にいろいろ書いてしまったせいで寝る時間が大幅に遅れてしまった。
人はこれを愚かと言うらしい……。
明日は短めでいきます。

晴れ
『商標・意匠・不正競争判例百選』

(2022/07/21)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?