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8月15日 自己啓発本の類型

昨日は夜遅くまで起きていたのに加えて、今日は早く起きたものだからいま猛烈に疲れている。眠たい。でもちゃんとやらないとなーと思っていたことを先延ばしにせず終わらせたから偉い。

『自分の時間』を読む。

著者が自説を繰り広げるなかで、平均的なロンドン市民をモデルケースとして登場させる。
そのロンドン市民は、勤務時間が朝10時から夕方6時までで、毎晩50分かけて通勤しているとのことだ。

そのような平均的なロンドン市民は、一日の労働が終わるくらいの時間になると、「顔色も悪く、疲れている」。家に帰ると「奥さんはあなたに『顔色が悪い』と言い、あなたもまた『疲れた』と告げる」。そんな人物である。

ロンドン市民は「家についてもすぐには食欲も湧」かず、「1時間かそこら」でようやく食べる気になってくる。「それから、厳粛な面持ちでタバコをくゆらせたり、友人と会ったり、トランプをしたり、あるいはぼんやりとして時間を過ごしたりする。本をちょっとめくってみたり、寄る年波にふと思いを致してみたり、散歩をしたり、ピアノをいじったり……」そんなことをしているともう夜も深くなってきて、だらだらと半分義務のようなかたちで眠りにつく。

このようなライフスタイルが著者は平均的なロンドン市民だというのである。

しかし、こう読んでみると自分にはかなり贅沢な生活をしているように思えてくる。夕飯は奥さんが作っているようだし、見たところ家事もしていなさそうだ。うーん、ここでここで平均的なロンドン市民とされているのは、実は平均的な”男性の”ロンドン市民なのかもしれない。まあ男女逆にしても成り立つのだが(しかし仕事から帰宅して一番に声をかけるのは「奥さん」だった)。なんにせよそこで描かれているのは伝統的な?旧来の?ライフスタイルなのではないか。
一方が専業の主夫/主婦とするのはもはや難しいのではないか…と思ってしまうところがあり、本書の(一部の)記述は時代の変化によって時代遅れとなってしまっているのかも…しれない。

さて、自己啓発本は実は大きく二種類に分けることができる。それは「男性向け」か「女性向け」かだ。前者が仕事での成長志向なのに対し、後者は「自己」の発見を重視する。『自分の時間』はまさに男性向けの類型にあてはまる典型的な自己啓発本ということになるのだった。この辺の詳しい話はいつか『日常に侵入する自己啓発』を紹介するときに詳述したい。

……あれ?こんなことを言いたいから『自分の時間』を読み始めたわけじゃないんだけどなあ。でもちょっと心に引っかかったのでここに書き散らしたのだった。

晴れ

『自分の時間』
『ファイトクラブ』

(2022/08/15)

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