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11月4日の日記 音楽をどう聴くか

SAAYのアルバム「S:INEMA」、めちゃくちゃ良いな。

寡聞にして、SAAYというアーティストを知らなかったのだが、先日入った古本屋でかかっていて一目惚れ(一聴惚れ?)した。

音楽の聴き方を少しずつ変えていくときがきた気がする。

若林恵『さよなら未来』では、音楽の話がよく登場する。「K-POPの遠近法」では、洋楽邦楽という枠組みに収まらないK-POPから、実のところ洋楽というジャンルが「西洋=欧米」発のものを指してきたことが再認識されることになり、先進的なものがアジアから到来される現代において、西洋=世界ではなく、世界の部分としての西洋といったような世界認識が変わりゆくさまを論じる。

あるいは「音楽に産業に必要か?」では、日本において、音楽がなぜ必要なのかわからなくなってきているという。

音楽が人に、なにをどれだけもたらしてくれるのかを定量化することは難しい。それを自治体や国、もしくは社会といったレヴェルで定量化しようと思えばなおさらで、産業化され、お金となって還流してくることでしかその価値を明示することができないというのなら、それはそうかもしれない。けれど、音楽と豊かさ(Quality of Life)の相関は、個々人のレヴェルにおいてはそんなに難しい話でもないはずで(…)
『さよなら未来』138p

音楽産業の振興を考えるにあたって、こうした根本的な実質的価値がすっぽり抜け落ちてしまっているのではないか、音楽を感動でパッケージ化して売りつけ、それで安心してしまっているのではないか……。

これらは、音楽を用いた社会批評だろう。『さよなら未来』では、音楽それ自体の批評も載っている。
残念ながら、あまり自分がその分野にあまり明るくないため、内容について細かく吟味する能力がないのだが、それでもその論ずる方法については参考になる部分がある。

・そのアーティストの来歴、関連するアーティストについて知ること
・その音楽がどのような社会背景のもとで生まれたのか
・歌詞を解釈する

こうした聴き方を今後していってもいいのではないか、と思うようになった。

いままでは本能に従って横に広げるような聴き方をしていたが、縦に掘り下げても楽しいかもな、と思うようになったのだ。

こうした聴き方は受動的というよりは能動的といえる。なにを聴くのか、なにかしらの判断基準を持つことになる。

サブスクやSNSなどのネット上のプラットフォームは、Recommendation Mediaとしての発展をつづけている。自分にとって心地よいコンテンツが絶え間なく自動的にオススメされる機能は、楽ではあるがゆえに私たちを受動的にする。

サブスクもいいが、CDやレコードに回帰するべきか。そんなことを最近思うのだった。

上のガーディアンの記事では新しい音楽を見つけるための6つの方法が示されている。Bandcampや人に聞いたりなど…。こうした行動から始めるべきか。

最近買った本😘

晴れ
『さよなら未来』

(2022/11/04)

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