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2026年の詩

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2026年を想定したSFの詩、未来の現代詩
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記事一覧

2026年 RとS

 現実世界REALIDADのR Rに残された独特の概念 背徳 ソフトシェルクラブ 感触の快 秘汁の…

西崎久慈
4年前

2026年 無重力で血球を揺らせ

無重力に血球が揺れる 毛細血管を窮屈に進む血球 ヒリヒリする 毛細血管を抜けた開放 次々と…

西崎久慈
4年前

2026年 Bフィン

外海はすべて繋がっているようだ ハワイで会ったイルカに水族館で再会 背中の擦り傷 白と黒と…

西崎久慈
4年前

2026年 盆の窪の淵に沿って黒く二筋垂れる

米国行きの飛行機 空気の薄い雲の上 そこには人の温かみがある 空気の濃い地面の上 そこには…

西崎久慈
4年前
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2026年 千葉アレルギー

緑茶に砂糖を入れる ビールに氷を入れる 牛乳に塩を入れる 給仕されたパフェにはミントの葉が…

西崎久慈
4年前
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2026年 褐色の旅人

彼女の灰色のパーカーはいかにも旅人然 褐色の肌 透明感とツヤ 鼻の山脈の中ほど 向かってや…

西崎久慈
4年前

2026年 巴里の女

雨の電気信号 空をひび割り 水平線の向こうに逃げた 味の電気信号 寄せてくるのは甘さ適度な整った波 女「巴里に五年いたの」 その瞬間、顔が華やいだ 人が巴里について話すときのあれだ 雨の逃げた先 東京湾の向こうに巴里がある 女「あたしは2、ドーナツは0、この足は1」 女は昨日巴里で食べ残したドーナツを見てオイラー数の話をした 万物の形を司るオイラー数 巴里のドーナツは甘さが足りない 女「自転車もキックボードも苦手なの」 露わな足 紫色の丸 赤色の線群 皮膚を感じる 巴里

2026年 ZZ音楽

半世紀前に活躍したロックバンド 大型トラックと長いヒゲが似合う男たち 小気味よく繰り返され…

西崎久慈
4年前

2026年 RとS

 第一幕 弧R 闘牛士のR 身体が動き空間がしなる 下半身は不動 偏心なき回転 細く長い腕は…

西崎久慈
4年前

2026年 大声で叫びた

大声で叫びたい気分だから 芝生に伸びた影 女はさっき服を脱ぎ捨てたので裸のはずだ スタジ…

西崎久慈
4年前
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2026年 ゴッホ

上空から眺める ゴッホの絵のようだ リニア新幹線開通に向かう品川駅 巨大な社会実験 一人乗…

西崎久慈
4年前

2026年 夏とオゾン

公衆便所の壁際には決まってオゾンの刺激臭 無臭の追求の失敗 人類は少し見失っている 電灯の…

西崎久慈
4年前

2026年 パーマとバケーション

人生を変えるのはパーマかバケーションですよ 黒目の小さい女が言った 女は美容師 茶色のシナ…

西崎久慈
4年前
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