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文語形容詞の連体形って?

前回の記事「連体形って何?」 は現代語、口語について書いたので、今回は文語の連体形について。むしろそれが知りたいわ、っていう方が多いと思われ。口語はふだんしゃべってるから、なんとなく活用の規則とか意識しなくてもわかるけど、文語となるとそうもいかない。面倒でも迷ったら辞書引くことをお勧めする。

【例】 NHKギュッと!四国「夏井いつきの俳句道場」秀作
  杉箸の先に鰆の密度濃し 津島野イリス
この句に使った「濃し」は口語の「濃い」と意味は同じ形容詞。句末におかれている終止形だ。これの元句は以下
  箸に濃き鰆の密度潮のいろ 津島野イリス
「濃き」となってるね。これは連体形。うしろにある鰆という体言を修飾するので、連体形でなくてはいけない。他の活用形が使われてる例句も考えてみようかな。
  濃けれどもきよらに鰆にほひけり 津島野イリス
「濃けれ」になってる。「ども」(接続助詞)につなげる時には已然形という形にするというきまりがあるよ。助詞についてはまたあらためて。

口語の形容詞の活用は1種類しかないけど、文語の形容詞には「ク活用」と「シク活用」と2種類あるよ。辞書引くと活用語尾だけが書かれているので、意味不明・・・・となるかもしれない。順番さえ覚えてしまえば大丈夫。「濃し」はク活用の形容詞。濃(こ)の部分は語幹といって、活用しても形が変わらない部分。以下のように活用語尾が変化する。
(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ
から=未然形/く・かり=連用形/し=終止形/き・かる=連体形/けれ=已然形(いぜんけい)/かれ=命令形

文語では形容詞の終止形と連体形が全然違うことに気づいた?口語では形容詞の終止形と連体形はどちらも活用語尾が「い」なので、間違えることがない、というか、意識しなくて済むんだね。文語で形容詞使う時には終止形と連体形をきちんと区別して書かないと、「文法違うぞ」って言われちゃう。気を付けてね。


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