寝物語

眠りたい太陽と
報われたい月の間
永久凍土の下から生えた古いアパートの一室で
互いの姿も見えないままに
色違いの36.5度を探し求めたぼくらは
きっと天国の裏側で
その噛み跡を見つけてしまったのだろう
逃げていくハッピーエンドを追いかけて産声をあげたら
おとぎ話の終わりにつづきを描き足そうとした神さまが
今は汚れた裏路地でバナナの皮を投げられていた
世界を形容する言葉をいくつ知っても
きらめきはすぐに時代おくれになった
割れた窓ガラスが降って来たときが一番綺麗な思い出だなんて、笑い話にもならないね

たとえば

君の青いスカートの裾がほつれて
疾走するタイムマシンのドアに引っかかったら
ぼくらは空を飛べるだろうか
宇宙を透かした君の手は
今日と同じに柔らかいだろうか
それに触れたら
そうしたら、きっと
「ほんとう」を思い出せるだろうか

もうすぐ夜が蛍光灯に追い払われる
「夢でもみたの?」って笑ってほしいから
いつか朝になったら
君にこの話をしよう

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