わたしよ

わたしよ

わたしだったものよ

どこへ行ってしまったのか

四月の椿が落ちた朝に

松葉に千切られた風が笑う午後に

太陽を灰色の海が呑んだ夕に

潰れた紙コップがやけに目についた夜に

もしかして、死んでしまったのか

わたしよ

わたしだったものよ

おれんじの頬にくちづけた春に

髪を切った夏に

光りかたを思い出した秋に

それと引き換えに、いくつかの歌を忘れた冬に

もうそこにはいなかったのか

わたしよ

わたしだったものよ

それならば

それならば

この

鼓動は

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