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35歳・営業マンが未経験でBtoBスタートアップ広報に転職した話<1年目の記録>

初めまして株式会社Libry広報の入江です。

今回の記事は、「自分の仕事の価値」は、遠慮せずじゃんじゃかアピールしていきましょう。を読んだことがきっかけで書くことにしました。その一部を抜粋してご紹介します。

一つ間違いのない事実として、
「仕事の可視化も大事な仕事の内」
というものがあるんです。

そもそも、「自分以外誰にも知られていない重要な仕事」って、本来存在しちゃいけないんですよね。
(中略)
「自分がどんな仕事をしていて、その仕事にはどんな価値がある」と上にアピールすることは非常に重要です。別に本人の評価の為だけではなく、会社が抱えているリスクを低減する為に重要です。

というわけで、多くのスタートアップでは、広報が1人だけという話をよく聞きますし、弊社も「ひとり広報」なので会社のリスク低減のために、ここに書き記しておきます。


この記事が参考になるかもしれない人

・未経験で広報に挑戦している
・ひとり広報
・広報体制を強化していきたいスタートアップの経営者や人事
・未経験だけど広報に興味がある方


1人目の専任広報として入社した2021年2月から約1年。やって良かったこと、もっとこうした方が良かったかも、と感じたポイントを書いていこうと思います。この記事が未経験広報・ひとり広報で悩んでいる方、これから広報体制を強化していく企業の方の参考になれば嬉しいです。

自己紹介

株式会社Libry
広報部 部長 入江(部長という肩書がついてますが、基本プレーヤーです)


これまでの経歴・経験

●広告代理店の新聞メディア担当(約3年/大手新聞社の広告部門と仕事)
●広告代理店の営業(約3年/大手飲料メーカーなど約50社のクライアントを担当)
●外資系金融の営業(約3年/個人向け、法人向けの両方を経験)
●外資系金融の営業マネージャー(5年弱/営業人材の採用と育成を経験)
●2021年2月株式会社Libryに1人目の専任広報としてジョイン(現在)

数値でみる1年目の記録

広報数値の可視化

Wantedlyさんのプロフィールに記載している数値がわかりやすかったのでスクショしたものを貼ります。

●メディア掲載総数:64件(日経テレコン+テレコンに引っかからないメディア掲載を合計、Webメディア含む)
●テレビ・新聞・ラジオへの露出:17件(月に最低1件以上の取材獲得)
●プレスリリース:25件
●広報からの情報発信数:76件(公式noteもここにカウント)

特に印象に残っているメディア露出は2つで、
1つ目】は9月のテレビ新広島「ライク!」の取材、
【2つ目】は10月の日本経済新聞・朝刊「エドテック、公教育に伴走」への掲載
https://about.libry.jp/news/9JDpq535
でした。

テレビ露出

1つ目のテレビ取材は1社だけで約10分という長い時間放送していただき、その後もヤフーニュースへも転載されました。さらには広島エリアの他学校からの問い合わせのきっかけをつくり、営業チームの商談に貢献できたこと。

2つ目の掲載は、入社時からコツコツ作っていた「ファクトブック」が役に立ち大型資金調達をした企業(Libryはその時は資金調達していない)と横並びで掲載されたこと、さらにその後、関西某テレビ局のリサーチに引っかかって問い合わせにつながったこと(放送には至らず)。が印象に残っている理由です。

数値の累計を可視化すると下記のようになります。(ピンクの枠で囲った部分が入社して4ヶ月位までの実績)少しだけ角度が急になっているのが伝わると嬉しいです。

広報アクションの実績(2019年から2021年の累積)

※会社の集計期間と私が入社した1年間スパンがピッタリがあっていないので、このグラフは2021年6月分まで。

広報している会社はどんな会社?

株式会社Libry(リブリー)
2012年創業の教育系スタートアップ企業
中学生・高校生が学校で使う教科書・問題集のデジタル版をプラットフォームで提供している会社です。

株式会社Libry https://libry.jp/
デジタル教材プラットフォーム「Libry(リブリー)」
これまで通りの「教材」と「学習スタイル」で、
生徒の個別最適化学習と先生の働き方改革を実現する、
デジタル教材プラットフォーム。

入社時の状況

●専任広報はおらず、兼任担当(現・社長室長)が広報基盤を固めていた。
●コロナ禍で学校向けにサービスの無償提供などを行っており、新聞やテレビ取材などが殺到したあとだった。(かなりハードルが上がった状態。笑)
●1年間は新機能や新サービスのリリースは予定されていなかった。
●人事担当が退職しており、採用計画が走っているのに採用広報が未着手の状態だった。

入社前・直後の心境

未経験の職種でしたし、これまで広報の方と一緒に仕事をした経験もなかったので、勝手なイメージだけで「広報は売る物が”会社”に変わって、売り込む先が"メディア"に変わるだけでしょ」というかなり大雑把な解釈をしてました。(当時の自分を大きなハリセンで殴ってやりたい。一部、間違っていない部分もあるとは思うのですが、そんなに浅いものではなかった。笑)

そもそも新卒から6年ほどは広告業界で働いていましたが、繋がりがあるのは広告部門の方ばかりで、記者さんとの繋がりはゼロという状態でした。

それからアプリやPCブラウザーで利用するサービスのため、画でみせることは難しく(いわゆる映えない)、さらに公教育(学校)というターゲットが限られた業界だったので、誰に何を広報すれば良いんだろう?とかなり悩みました。

そんな中、初めの3ヶ月くらいは下記を実施していきました。

・CEOとのコミュニケーション(入社オリエン、週次1on1など)
・広報に関する書籍を読む(2冊くらい読んだ)
・広報コミュニティーへの参加(2つくらい所属した)
・プレスリリースの書き方の勉強(他社プレスリリースを見たり、ググってみたり)
・会社の経営戦略のキャッチアップ
・業界知識を深める(文科省の政策、学校数など基本的なやつ)
・サービスやユーザーについて理解する(アカウント発行してもらって触ったり、導入事例を読んでみたり)
・各部署の部長との1on1
・営業同席(コロナ禍でオンライン商談だったので、ミュートで参加)
・メディア向け資料の作成(後ほど新聞取材で役立つファクトブックもこの一環でつくった)
・他社広報さんとの情報交換(成果を上げているスタートアップ広報の方にアポ取ってヒアリングさせてもらいました)
・採用関連の情報整理(人事不在だったので最低限の整えをしていました)
・クラブハウスでのミニプレゼンに参加(右も左も分からない入社2週間くらいでアウトプットの場が必要だと思って参加→結果的にBSテレビ東京の取材につながる出会いが…)
・広報計画の立案(めちゃくちゃ粗いやつだったので6月には作り直した)

まだまだある気がしますがざっとこんな感じ。その数カ月後には、人事の片桐さんやデザイナーの野村さん(コミュニケーションデザインに強い)など、タッグを組めるメンバーが増えたことで、広報で取り組める領域も大幅に広がっていきました。特に今取り組んでいる社内向けコミュニケーション施策(1年で社員数が2倍以上)は、一人では絶対に取り組めなかったことです。チームを組めるってありがたい。

やってよかった、と思ったこと

入社からやっておいてよかったと思うことは、「いま何が会社にとって最大の資産なのか?」を自問自答しつづけたことです。詳細はぼかしますが、下記のように会社にあるホワイトボード(リブリーは会社の壁がホワイトボードになっている)に、情報インプットしてはひたすらアウトプットするというのを繰り返していました。

ホワイトボード

ちなみに、この場合の資産とは、単にお金という意味ではなく、会社にとって「最も価値があるもの」とか「コストをかけているもの」を表します。2ヶ月くらい自問自答した結果、「Libryユーザーである学校」もしくは「学校の先生」が最大の資産なのではないかという仮説にたどり着きました。それを最大活用するという考えを、広報戦略のベースとして、すべての広報活動にリンクさせていきました。

広報活動のネタを探すために、直接学校にアポを取って1校ずつ活用状況をヒアリングするのは骨が折れましたが、その中でピックアップした学校8校のうち、5校がメディア露出(取材獲得率62.5%)につながり、1校はテレビ局の事前取材につながりました。(自分で言うのも変ですが、結構な高打率かも…笑)

もう少しこうした方が良かったかも、と思ったこと

最近とあるPR会社の方に教えてもらったのですが、広報には2つの役割があって、「売上や事業に直結する」「世の中の声を作る」です。

1つめは「マーケティング」に近いものをイメージしてもらえればと思います。いわゆる認知拡大を目的とした広報活動です。営業だと「問合せ数」や「商談化率」に、採用だと「応募数」や「求人閲覧数」に効くものです。これまで営業と採用は経験してきたので、イメージできました。これは他の部署でもやろうと思えばできる領域です。

営業における認知拡大

※入社してすぐのころ、社内メンバーに向けてプレゼンした資料の一部です

2つめは「パーセプションチェンジ(認識変容)」や「世論形成」と呼ばれるものです。各省庁を通じた政策提言であるとか、メディア露出などを通じて社会課題の解決を訴えること、がこれに当たるようです。これは広報にしかできない領域だと、先程のPR会社の人も言っていました。

ただし、業界について深い知識や理解がある状態で、「なぜ変えなければいけないのか?」「なぜ自分たちでなければいけないのか?」という確固たる信念や熱意、その両方を持ってなければいけないのだろうなと思っています。(やったことないので想像ですが…)

この2つ目については、教育業界に疎い段階では「難しいな」と思って1年目は後回しになっていました。逃げずに取り組んでいれば、今ごろ何かしらの成果を得られている気がするので改善点だと捉えています。何より広報のキャリアを考えたときに、プラスしかないと思いますので2年目にチャレンジします。

大切にしていること

最後に、大切にしていることについて。

自己分析では、センスがある天才タイプではなく、努力型の凡人タイプだと自覚をしています。なので、私の場合、人生を変えるのは「一発逆転」のできごとではなく、些細な「日常の習慣や積み重ね」だと思っています。(努力すれば必ず成功するよ、という根性論ではない)そして、これは私のビジネスにも共通していると考えています。

それから、広報という仕事は、すぐに効く頭痛薬のような「即効性」よりも、ジワジワ効いてくる漢方薬のような「遅効性」という側面が大きいのではないかと考えており、常に3ヶ月位先を見据えて仕事をしています。(今は3月末なので6月末〜7月くらいに芽が出るかな?と考えると精神衛生的にもよい)

もちろん、時流にバッチリあったテーマであれば、一気にメディア露出の機会や売上アップに結びつくケースもあると思いますが、そうなる企業は限られており、多くの企業にとってはそうではないと考えています。また、大手企業のように、次から次へと新しい商品やサービスが出せるわけではないですし、資金面にも限界があります。

そうは言っても、会社も入江という社員の人件費を支払っているので、これに見合った投資対効果は発揮したいと常に思って取り組んでいます。これからも「限られた手札をどう切っていくか」を経営陣としっかり認識合わせしながら、スタートアップ企業ならではの「広報」活動を模索していきます。

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この記事が未経験広報・ひとり広報で悩んでいる方、これから広報体制を強化していく企業の経営者や人事の方の参考になれば嬉しいです。もし広報に関して「こんなことに困っているんですが…」「これってどうやるんですか?」という相談でもOKです。気軽にTwitterでご連絡ください。(私も先輩広報の皆さんに同じように助けてもらいましたので、業界への恩送りだと思っています)

入江 崇裕 | もし営業が広報力を身につけたら
Twitterリンク:https://twitter.com/iripii


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