大通りから路地裏に入るとおしゃれなデザインの家からそこだけタイムスリップしたような昔を感じる家が並んでる。 どこからか聞こえてくる子供たちの声、個人で営んでる小さなお店、風に揺られる洗濯物、掃除機の音、夕飯の美味しそうな匂い、足早に家路につく人。なんとなしに歩いてもそこには色んな人の暮らしが存在してる。 「最近建てられたんだろうな。子供用の自転車がある。この自転車に乗ってる子はここで育っていくんだ。」 「今日の夕飯はカレーかあ。甘口かな、辛口かな。」 「花がたくさん植えて
片耳が聞こえなくなったイヤホンを買い直さずに使い続けていた。 買い直そうとも思わなかった。 全てがどうでもよかった。 薬を飲んで寝て、起きてまた飲んで寝てを繰り返す。世界を完全シャットダウン。 また意識がなくなるまでの間、天井をボーっと見つめては深夜の街の静けさのような心で「どうしたら死ねるか」それだけを考えていた。 人生で一番暗い場所に居た時の話。とても長い間そうだったように感じるくらい、深く暗い。 当時のことは断片的な記憶しかなく思い出そうとしても上手く思い出せない
私は変わりゆくものにいつまでも弱いままだ。 変化には必ず別れがつきものだから。 花が枯れていく姿にも切なさを感じてしまう。 永遠などない。もうよく知ってるのに求める心を静めることはできそうにない。 失うことを恐れるあまり向き合うことから逃げてきた。 その人を見つめてるようで目を逸らしていたんだ。 別れはあらゆる形で抗う隙も与えずにやってくる。 絶対に来るいつかの別れに身を備えておくこと、少しでも遠ざけられるように相手が求める自分で居ること、以前の私にとって言うならばそれ