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テック企業の大量解雇のその先は?

イーロン・マスクがTwitterの従業員半分を解雇すると宣言したのは記憶に新しいですが、その他のUSテック企業、MetaやStripeも従業員の大幅解雇に踏み切っています。

それを受け、アイルランド国内でも1000人程度の人材が解雇される予定です。単純に見るとアイルランドの重要な税源であるテック企業の大量解雇は、景気に対してネガティブなインパクトをもたらすと考えられます。

しかしアイルランド当局は、この動きを決してネガティブだけには捉えていない様子。かねてから危険性が叫ばれていた、アイルランドのITテックへの依存度を低くするきっかけになり、テック企業の陰に隠れているその他産業の成長を促す機会になると前向きに捉えています。

①アイルランドスタートアップへの人材移動

US企業を解雇された優秀な人材は、アイルランドのその他企業に流れることとなります。国内での人材不足は近年ますます増加しており、特にスタートアップの人材不足は激しいです。優秀なIT人材が国内スタートアップに流れることで、国際的な競争性を増すスタートアップが現れることをが期待されます。

②法人税収は大幅減少はしない

そもそもアイルランドでは、テック企業と製薬企業等で法人税収入の半分を占めるほどにこの2つの産業が重要なものとなっています。解雇を進めているテック企業も、実は業績はそこまで悪化しているわけではなく、またアイルランド撤退なども今のところ予定されていません。そのため、今回の大幅解雇は法人税収入にはつながらないと予測されています。

③所得税収減も大きなインパクトはない

テック企業の従業員はアイルランド全体の雇用者数のうち6.5%を占め、その所得税収は10%を占めています。どこまでを大きなインパクトとするかは意見が分かれますが、1000人程度の解雇、さらに再雇用の可能性も考えると、所得税収減はさほど大きな税収減少には繋がらないようです。

アイルランドは国をあげてテック企業の誘致に努め、そこに多大な投資をしてきましたが、地に足のついた他の産業育成に力を入れるときが来ている気がします。

参考:Tech job cuts a wake-up call to Ireland’s economy


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