見出し画像

国立長寿医療研究センター 島田裕之先生インタビュー②

インターリハ開発部です。

今日も私たちの記事を読んでくださいまして、ありがとうございます。

今回も、
国立長寿医療研究センターの島田裕之先生のインタビューを掲載します。

前回の記事では、「認知症に対する世間のイメージ」「認知症の予防において大切なこと」「島田先生が予防研究の道に入ったきっかけ」を伺いました。

今回は、認知症予防プログラム「コグニサイズ」について、
より深くお話を伺っていきます。

「コグニサイズ」とは、コグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた造語で、頭で考えるコグニション課題と身体を動かすエクササイズ課題を同時に行うことで、脳と身体の機能を効果的に向上させることが期待されます。


Q、どのような方が「コグニサイズ」に取り組んでいますか?

「コグニサイズ」は、いろんな地域でたくさんの方々に取り組んでいただいています。

取り組んでいる内容を見ると、私たちが書いたテキストの内容をそのまま実践されている方もいれば、ご自身で工夫されて取り組まれている方もいます。

そのような方の姿を見たり、お話を伺うと、このような活動をしてきて、
本当によかったという気持ちになります。


Q、「コグニサイズ」 に取り組まれている方から、どのような声を聞かれますか?

一番いただくのは、「コグニサイズは楽しい!」という声です。


このような予防活動で一番大事なのは、「続けること」です。

「何をやるのか」も大事ですが、「続けること」が一番大事です。

「運動って楽しくないよね」「一人でやる運動なんてできない」と言って、運動をやめてしまう人が多いと思います。そのような中でも、「コグニサイズ」は続けてくださる方が多いです。


続けることができるのは、「コグニサイズ 」は楽しいからです。

ちょっと難しいことにチャレンジして、達成する。
またチャレンジして、達成する。「コグニサイズ 」はこの繰り返しです。

常に「ちょっと難しいことにチャレンジし続ける」というのが、
「コグニサイズ」の基本的な部分です。この部分が、楽しく運動を続けることに繋がっています。

「コグニサイズ 」は、一人で取り組むだけでなく、複数人で取り組む場合もあります。複数人で取り組む場合は、「ちょっと間違えるぐらいがいい」と、みなさんにお伝えしています。

間違えると、場が盛り上がります。「あ〜!間違えちゃった!」という声があがって笑いが起こります。すると、すごく楽しい雰囲気になります。

このような点も、運動を続けることができる理由であり、「コグニサイズ 」が選ばれている理由ではないかと思います。


Q、どのような人に「コグニサイズ」 に取り組んでほしいですか?

私としては、年齢に関係なく、皆さんに取り組んでいただきたいです。

その中でも、このような段階にきたら取り組んでいただきたいというのは、
 「MCI」 という軽度認知障害が見られた段階です。

ある一定の年齢になると、認知機能は徐々に落ちていきます。

一定レベルと比べて、明らかに機能が落ちた状態が「MCI」です。

「MCI」 の程度によりますが、機能が落ちた状態ですと、数年先に認知症になるリスクが格段に上がります。一方で、 「MCI」 のレベルであれば、正常の状態に回復する方もたくさんおられます。

「MCI」 のレベルが水際です。この段階で、いかに踏ん張っていただくかは、すごく大事なことです。

私は、認知機能が落ち始めたと感じたら、迷わずに、認知症を予防する取り組みを始めていただきたいと思います。

認知症のリスクは、たくさんの人が持っています。それは高齢になればなるほど、リスクが高まります。ご高齢の方には、「コグニサイズ」にぜひ取り組んでいただきたいと思います。

普段の日常生活で、すごくアクティブに活動されてる方は、その活動を継続していただければと思います。
しかし、コロナ禍で、日常の活動量が抑えられている状況です。こういう時だからこそ、「コグニサイズ」に取り組んでいただきたいです。


認知症の大半を占める、アルツハイマー病の原因となる物質があります。
アルツハイマー病の人の脳に蓄積するものですが、その蓄積の始まりは、発症の20年前から始まっています。

80歳ぐらいで認知症になる方が増えています。そうすると60歳の時から、認知症の原因というのは徐々に始まっているということになります。

運動や食事、生活習慣病の管理など、できることはたくさんあります。

ぜひ、中高年の時から、自宅で認知症予防のための取り組みをしていただきたいです。



インタビュー③に続く。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?