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 cadenceという英単語があります。

1.〔ダンスや行進の〕歩調、足拍子◆可算
2.〔詩の〕リズム、律動
3.〔~を行う〕頻度
4.〔文の最後などの〕下降調
5.〔話し言葉の〕抑揚、イントネーション
6.《音楽》終止形、カデンツ◆終始に至る直前の和音の進行。◆【同】close

 という意味です。私がこの単語に親近感を覚えたのは、渡辺航氏による漫画『弱虫ペダル』に出会った時。「ケイデンス」はペダルを回す回転数のことを示すそうで、自転車競技をテーマとする同作品の中でしばしば使われる単語です。

 先日放送されたNHKの番組『鶴瓶の家族の乾杯』では歌手の木村カエラ氏がゲスト出演。大分県日田市を訪れ、その土地の伝統工芸品で重要無形文化財にも指定されている小鹿田焼(おんたやき)の工房を訪れます。そこは、江戸時代の方法で、焼き物を製造。工房の長である坂本氏は、時代のスピードが進む中、伝統を残す大変さを語りつつ、

 私たちのスピードが遅いのではなく、周りが早すぎるだけなんだ

 と語っていました。

 私たちは技術革新と競争社会の中で、ケイデンスをどんどんあげて、いつしか周りの風景を見過ごすようになっているのではないか。スピードをあげること「だけ」が全てではない。大量生産・大量消費の文明の中で、私たちが自分の人生のケイデンスをどうコントロールするのか。

 江戸時代の人たちと語り合いたいなとふと思う、梅雨の始まり。

 

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