私と妹とハルキ

 昔話における三兄弟、三姉妹のいちばん上はたいてい、いじわるだったりよくばりだったりする。
 そしてひどい失敗をして、物語から退場するのだ。

 いちばん上、とくに長女が活躍する童話はなかなかない。一姫二太郎なんて言葉が日本にはあるが、主人公になるのは姫ではなく太郎のほうだ。

 幼い頃上に兄や姉がいれば主人公になれると勝手に思っていた。
 そんな私は、三姉妹の長女である。

 お姉ちゃんなんだからといわれて怒られたこともなく、年上の意識もない。電子機器関連以外で頼られることもない。環境がよかったのか悪かったのか、妹とはそれなりにいい関係を築けているとは思っている。

 妹は主人公になるのか。妹をみて思う。そもそも主人公になるには、姉である私の犠牲が必要なのではないか。それはいやだ。

 妹が隣で大学の課題を始めた。ハルキっていくつだっけ?35?と聞いてくるが、村上春樹はそんなに若くないし、友達でもない。
 横目で盗み見たノートがわりの落書き帳には不思議な生物が踊っている。


 おそらく妹は面白い。主人公になるかはわからないが。


 これは、妹と暮らす私のただの日記である。妹が主人公になるまで書いてみる。

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