見出し画像

君は遊戯王黎明期の先攻制圧に震えろ

今日も遊戯王マスターデュエルにおいては、先攻制圧が元気に行われているようだ。

コイントスで負けて先攻を許したが最後、やれ崇高なる宣告者だ、やれV.F.Dだ、と強力無比なモンスターを並べられ、もはや後攻側に突破はほぼ不可能な盤面が完成する。

もちろんそれに一矢報いるための『灰流うらら』等の手札誘発カードがあるのだが・・・あるのだが、宗教上の理由により俺はそれを使えないのだ。

(参考)【note記事】君は今すぐデッキから灰流うららを抜け

まあうららちゃんの話はともかく、遊戯王OCGの初期の初期にも、その先攻制圧が存在したのを君は知っているだろうか。

時は1999年の4月。現在34歳児である俺にとっての、小6の春であるーーー


秘密基地『DEATH-T』

小6の春。楽しい小学生男児ライフを満喫していた俺は、友人たちと一緒に秘密基地を作り上げた。

作り上げた、とは言ってもそれはどこかの建設会社の資材置き場をそのまま利用したもので、管理者に見つかればしこたま怒られるような代物だったが。(※実際、夏ごろに怒られて秘密基地は壊滅した。)

そしてその秘密基地の命名権を与えられた俺は、当時最もHOTだった漫画、遊☆戯☆王から引用して、『DEATH-T』(です・てぃー)と名づけた。

DEATH-Tとは、海馬瀬人が作り上げた、殺人鬼のうろうろする死のテーマパークで、おおよそ子供たちの集い場には相応しくない名称だったのだが、小6男子はアホなので少年心にティンときたのだった。

「明日の土曜、DEATH-Tに行こうぜ!」

「やっべ、DEATH-Tに帽子忘れてきたわ」

DEATH-Tは、あの頃の俺たちの日常にすっかり馴染んでいった。


最新パック『Vol.2』

秘密基地DEATH-Tでは当然、発売されたばかりの最新カードゲーム、遊戯王OCGを全員がプレイしていた。

画像4

この頃のカードパックは収録枚数も少なく、レアカードも1パックに1枚必ず入っているわけではなかったので、必然的にDEATH-Tには、あまったノーマルカードがどんどん溜まっていったのを覚えている。

それはある種の共有財産となり、新たにDEATH-Tに加わるメンバーへ与えられる初期デッキの材料となったのだった。

さてここで、当時の最新パック、『Vol.2』のカードリストを見てもらいたい。

【遊戯王wiki】Vol.2 カードリスト

レギュラーパックとしては2つ目であり、「死者蘇生」や「光の護封剣」などの今でも有名な魔法カードが目を引く。

しかし真に凶悪だったのは、それらレアカードではなかった。

ノーマルカードの中に、先攻で出されただけで後攻が詰んでしまう、恐ろしいモンスターが隠れていたのだ。

君は何かわかるだろうか。

もう一度、上記のカードリストを見返してみてほしい。


最強モンスターは女神の顔をしていた

正解は『ハープの精』だ。

画像1

何が恐ろしいって、その守備力である。

守備力2000。2000だぞ。

これを先攻で、守備表示で出されてみろ。もう後攻の君に打つ手はない。

本当だ。

疑うなら、君はvol.2のカードリストから、ハープの精を突破できるカードを探してみてほしい。

どうだ。見つかりはしないだろう。

だって無いのだから。

収録されているモンスターの最高攻撃力は、ウルトラレアカードの『カース・オブ・ドラゴン』の攻撃力2000なのだ。(※攻撃力と守備力が同値の場合は、戦闘破壊することができない。)

また、効果で破壊する除去カードなどもない。

最新パックしか手に入らない田舎者の俺たちにとって、この美しい『ハープの精』をどう処理するか、というのは悩みの種だったのだ。

だって先攻制圧とは書いたが、後攻も同じくハープの精を出すだけで、千日手になってしまうんだもの!


ワイルド・ラプター・エグゾディア

しかしそれでも俺たちは、せっかく買った遊戯王カードで楽しく遊びたかったのだ。

そこで考え出されたのが『3体連結』というハウスルールである。

これは劇場版遊戯王にて、青眼の白龍が3体連結(究極竜ではない)したことから着想を得たもので、同じモンスターを3枚重ねて出すことで、攻守を1.5倍として扱う、というルールだった。

この画期的なルールにより、ノーマルカードで最高の攻撃力を誇るワイルド・ラプターを3体連結し、

画像2

攻撃力を1500×1.5=2250とすることで、ハープの精の守備力2000を打ち破れるようになったのである!

これにより最強の戦術は、ハープの精で盤面を固めつつ、手札にワイルド・ラプターが3枚揃うまで待つ、というものになった。

しかし今度は、3体連結したワイルド・ラプターを誰も倒せないのだから、揃った時点で勝負が決してしまうようになった。

もはやエグゾディアである。

覇権は一気にワイルド・ラプターに移った・・・

ように思われたが。

ある日誰かが「ハープの精を3体連結したら、守備力3000にならね・・・?」とつぶやいた。

俺たちは、その発言を聞かなかったことにした。


そして戦いは続く

これは、あくまでもVol.2が最新パックだった2ヶ月程度の話である。

小6の夏のはじめごろには、次のパックVol.3が登場し、環境はまた一気に変わることになる、と思われた。

思われたのだが・・・

画像4

なぜかハープの精の強化カードが登場し、俺たちはワイルド・ラプターと共に頭を抱えたのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?