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特許事務の仕事に必要な知識をどこから得るか

特許事務の仕事についてつらつら考えてみると、大きく以下のカテゴリーに分類できるのではないかと思います。どれかひとつだけあっても不十分で、できればこの3要素をまんべんなく兼ね備えていると強いような気がします。ただ事務所によっても必要とされるスキル・能力は異なるので、最低限一番目の要素の一部に習熟すれば何とかなることもありそうです。

  1. 実際の手続きの経験(実務)
    日本国内であれば(主に出願ソフトを使って)書類を準備して特許庁に提出するまで。外国であればクライアント、代理人とやりとりをして手続きを進めること。

  2. 知識
    特許とは何か、商標とは何か、特許の制度に対する理解、各国の制度やルールの相違、いろいろな手続きの期限など

  3. プラスアルファ
    国語力、作文力、思考力、調整力、忍耐力……

この3要素をどうやって身につけるかということですが、1は未経験で特許事務業界に入ると、大抵は事務所の先輩について仕事を習い覚えていくことになると思います。よって、1はOJT。そして1に習熟する過程で2の知識もある程度は自然に頭に入ってきます。また、2の要素は本を読んだりオンライン講座を受講したりすることで一番自習がしやすいです。

3は特許事務に限らず、働いていれば自然と身につくものかなと思います。これはわざわざ教えてもらうものでもないので、本人の意識次第で身につく人もいれば、身につかない人もいそうで、曖昧な要素と言えそうです。

ここでは2の知識拡充に役立ちそうなオンライン講座を集めてみました。弁理士とは違い、特許事務に特化した講座って残念ながらあまりないですね。

弁理士会主催の講座

弁理士事務所職員講座

外国出願手続実務
これは私も受講しましたが、各国制度の相違などがわかりやすくまとめられていて非常に役に立ちました。資料もあとで何度も見返して実務に役立てることができました。ただ、参加費用が高いのが難点です。各国の法律ってよく変わるので、できれば毎年資料だけでもほしいなと思ったりします。

知財事務のための英文書き方研修

特許庁主催の講座

初めて知的財産に関わる皆様へ!初心者向け制度説明会(ウェビナー)

2022年度イベントカレンダー

英語の講座

また経験者向けのものでは、Penn大学主催の特許と商標講座があります。これはアメリカの特許と商標に特化した内容で、英語の講義になります。でも字幕もでるし、段階を踏んでわかりやすい講義になっています。オンラインですがテストもありますよ。

無料でも受講できますが、有料コース(各169ドル)を受けてテストで一定の点数を獲得すれば修了証も発行されます。ただし、特許事務の実務に直結するような内容ではありません。どちらかと言うと、アメリカに特化した知財の知識をより充実させたい方向けのものだと思います。

私が受講したのはちょっと前なので特許の内容はあまり覚えていません。商標のほうはネットが発達するにつれて出てきた問題だとか、ブランドの模倣品問題とか、パロディだとか、実際の法律と現実問題の乖離などにも踏み込んだ内容の講義だったことが記憶に残っています。特許、商標ともに過去の有名な判例を例に挙げて筋道をたてて説明してくれるので、難解な内容ではありません。英語のスキルアップにも役立ちそうなので、チャレンジしたい方にはお勧めです。

Intellectual Property Law and Policy: Part 1

Intellectual Property Law and Policy: Part 2

最後に重要なお知らせ

IPTechでは事務メンバーの募集を始めました。
このブログを読んで共感してくれた方、完全在宅勤務で特許事務の仕事にチャレンジしてみたい方などいらっしゃいましたら是非応募してくださいね。
詳細は下のリンクからどうぞ。

https://iptech.jp/info/220712

http://www.patentsalon.com/jobs/offer/iptech/index.html

Posted by Miisha