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CASE 2:1粒で4度美味しい!? オンライン講演の味わい方

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渡辺知恵美(筑波技術大学)

 毎日の生活が大きく変わってから,1年が経ちました.学会や研究会などもすべてオンラインで行われるのが通常となってきました.

 これまで数カ月に一度の学会や研究会で普段会うことのできない先生方やほかの大学の学生たちと顔を合わせてそれぞれの近況や雑談をするのを楽しみにしていた私としては寂しい思いもあります.ただ個人的には今年はこれまでになく発表や聴講を楽しむことができた1年でした.オンラインでの開催を工夫してくださった運営の皆様方のおかげで講演を味わい尽くす経験ができました.

 今回は1粒で4度美味しい!? オンラインならではの講演の味わい尽くし方を書いてみます.

1回目:参加する

 今年は勉強会に参加する回が増えました.地方在住で小さい子供もいる我が身としては平日夜の参加は難しいですし,夕方も保育園のお迎えで途中で抜けることもありました.それに比べると自宅や仕事場から数秒で参加できる環境が増えたことは本当にありがたいです.また運営側も参加者も皆オンラインという環境のおかげでゴールデンタイム(18:00〜20:00 子供のお迎えから夕飯を食べるまで)を避けてくれる勉強会もあり大変助かりました.

2回目:思いを共有する

 一部の勉強会では,テキストチャットを活用しともに講演・発表を聞いている人同士で「なるほど」「勉強になる」「これはすごい」「これは何だろう」といった即時的な感想を共有することができました.私はこの実況チャットをとても気に入っています.脊髄反射レベルで極小のアウトプットができる上,聴講者同士で場を共有できる,多様な受け取り方をリアルタイムに知ることができる,専門用語などを補足してくれる人も現れる,あとで見返し思い返すことができる,などたくさんのメリットがあるからです.それに意外とオンサイトで場を共有しても発表中は会話できないので,実はオンサイトよりも得られる情報は多いのでは?という気もします.

3回目:何度も見る

 会によっては一般公開もしくは参加者限定で発表動画を共有してくれることが増えたように思います.会当日はセッションが並列で見られなかった発表も見ることができます.やってよかったことは,一度リアルタイムで聴いた講演を車の運転中や家事をやっている間などに聞き返してみたことです.大体の流れは覚えているのでスライドを見ずに音声だけでも分かりますし,聞き逃していたこと勘違いしていたことなどに気付いたり考えを整理することができました.

4回目:動画をみんなで見る

 とはいえ日々の仕事に追われていると動画を見る時間を作るのも難しいことがあります.とある勉強会ではイベント後に動画視聴会があり,とても有益でした.「思いを共有する」「何度も見る」の両方の良さを得ることができます.当日だと次々に発表があってなかなか感想も言い合えないけど,動画視聴会なら動画を見た後じっくり感想戦をすることもできます.

 また,自分が発表した動画をみんなと一緒に見るのもこれまたお勧めです.発表の補足をしたり裏話をしたり感想や質問をその場で受けられたり,当日よりも多くのフィードバックを受けることができます.もう一度発表し直さなくていいので楽です.

まとめ:実は全部オンサイトでもできる

 「オンラインならではの楽しみ方」と銘打ってまとめてみたんですが,実は4つともオンサイトでもできることでした.今回のような経験を経て,勉強会の運営方法や楽しみ方も今後は変わっていくのかもしれませんね.

余談:雑談したい病

 それでもやっぱり残念なのは参加者同士で気軽に雑談ができないことです.雑談用の場所を用意してくださる場合もあるんですが,そこに入るハードルがなかなか高いのは一体なぜなんでしょうね(オンサイトでも誰もいない部屋に入るのは抵抗ありますからそういうものなんでしょう).

 「さて皆さんで雑談しましょう」というのは違和感があるという話も聞きますが,やはりオンラインイベントでは明示的に雑談をする時間と場を設けるのがよいのかなぁ,というのが個人的な見解です.あえて自由度を狭め,グループと時間とネタ(印象に残った発表,明日何聴く?など)を決めて話すと意外と面識がない方ともお話しできるし,かなり雑談欲が満たされます.

(2021年3月31日受付)

渡辺知恵美(正会員)
2003年お茶大大学院博士後期課程修了.博士(理学).奈良女子大学助手,お茶の水女子大学講師,筑波大学准教授を経て,2019年4月より筑波技術大学准教授.

★働き方について,もっと考えたい人はこちら→『Info-WorkPlace』note

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