シェア
松原 仁(東京大学次世代知能科学研究センター) 1970年代後半に最初に書いたプログラムは将棋だった.プログラミングを自習し始めたばかりの学生にとって将棋はむずかしすぎてまともに動くものはできなかった(ちなみに言語はFortranだった).情報科学科に進学してプログラミングにある程度習熟してから詰め将棋を解くプログラムを完成させることができた.大学院に進学してAIを研究することになったけれど,日本ではゲームを研究テーマとすることは到底許される雰囲気がなかったので画像認識や
川原圭博(東京大学教授/mercari R4D, Head of Research) 研究者なら一度は「あなたの研究は何の役に立つのですか」と聞かれた経験があるに違いない.文脈によっては,自分の仕事が何の役にも立たないと言われたような気がして,後ろめたい気持ちになってしまう.基礎研究に近い場合,こうした言葉に強く反発する人もいるだろう.とはいえ,研究活動は多かれ少なかれ,社会に支えられて可能になっている.用途を考えず取り組んだ研究であっても,何かの役に立てば嬉しいもので