見出し画像

弁当屋の物件選定条件

生産数が増えるにつれて手狭になってきた製造キッチン。移転を考え始めて数年、実はちょっと進展がありました。まだ確定はしていないので詳細は後日。

今回は来店無しの完全な製造施設なので選定は夫にお任せしています。私は外観や内装、間取り、周辺環境がターゲット層に合っているかなどビジュアル面を担当していたのですが今回は全く役に立ちません。

試しに夫に物件の選定条件を聞いてみました。家賃や間取りはもちろん条件を設定していますが、これは業態とか個々で違うしなぁ。

比較的色んな方に当てはまりそうで意外と見落としがちな話を抜粋してみよう。

1.グリストラップ

グリストラップという飲食店の厨房からの排水をそのまま下水に流さないように油分と水分を分離する働きをする設備。明確な法的義務は無いらしいですが下水道法とかの基準値に沿うには設置が無難。後から付けるとなると床剥がして工事なんで元から着いてる物件が嬉しい。定期清掃メンテナンス出来る業者が来てくれる場所か、費用も含めて打診も大事。

2.浄化槽と下水

浄化槽は店舗規模によって規定サイズが決まっています。自分の店舗にあった浄化槽もしくは厨房排水が下水に繋がっている物件を探す。サイズが違う浄化槽は工事が必要になるので注意。ちなみに浄化槽は管理費、下水は下水処理料金がかかるのでチェックしましょう。

3.排水

物件見学のタイミングで排水路や配管の有無は確認出来ても実際流れるかは分かりません。前の借主が重飲食だったり長い間空いていた物件は要注意!配管に油が固まって詰まっている事が。それが何十年も放置されていると油が石化(?)というかカチカチに固まって、ちょっとやそっとじゃ取れない。前回それで業者を呼んで大騒動。費用も時間もかかった悲しい思い出…。

4.動力電源

厨房機器には200V使用のものも多く、家庭用電源では使えない場合があります。動力電源が無い場合は新たに引かなくてはいけない。状況によるかもしれませんが、うちはプラス50万近くかかったので最初からついてると助かる。

5.周辺環境

これなら分かる!と思ったら全然違った。ここで言う周辺環境は民家から離れている事、駐車場含め建物周りの敷地が広い事、交通アクセスなどらしい。と言うのも弁当屋の稼働時間は早朝や深夜。民家が近いと、騒音や匂いが気になる住民もいる。業者の大きな車も出入りするしゴミ捨て場も必要。建物の広さだけではなく駐車場や敷地の広さも重要なのだ。敷地が広ければ必然的に民家や歩行者からも距離がとれるしね。近隣との関係は結構悩みの種だったらしい。

6.返却条件

意外と見落としがちなのが返却時の条件や費用。事業用物件は返却時に『現状復帰』が条件の事も多い。『現状』がどの状態を指すのかをしっかり確認して契約時の証拠も残した方が良い。オープン時に辞める事を考えるなんてっと思う気もするけど状況に合わせて業態を変える事もあるし、全然違うチャンスが来る事もある。閉店にしたってタイミングよく判断出来るかが次のチャンスを作る。返却条件の行き違いや費用で足止めされてチャンスを逃すなんて嫌だから、と言うのが夫の考え。


以上が夫の物件選定の条件でした。配達専門の弁当製造業なのでちょっと通常の飲食とは違う目線でしたね。でも一般の飲食店も排水は大事だし、稼働時間によっては営業にまつわる匂いや音、声も注意が必要。返却の話もナルホドと思いました。

夫曰く、『予定外の追加費用がかかるのが怖いからなるべく潰しておきたいシリーズ』らしい。まぁ色々失敗してきたもんね…

気軽に聞いたつもりが、割と生々しい話しになってしまった。さて、条件クリアした物件は見つかるでしょうか?

7.【おまけ】不動産屋さんへ

飲食経営者は厨房の換気扇や排水設備、駐車場、店舗裏スペース(仕入れ品の搬入口やゴミ捨て場があるか)なんかが気になります。物件情報に客席はともかくトイレの写真が多いのは何故?『それより厨房をっ』てなる。トイレも大事だけどね。写真や情報のバランスを検討して貰えると面倒くさい質問をする客が減るかも知れません(主にうちの夫)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?