もはや全員可愛い

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これは数ヶ月前
僕が電車に乗っていた時の話だ。

僕はその日の朝、
バイト先に向かうため
駅に着くと、改札を通り抜けて
いつも通り電車に乗った。

車内の混み具合もいつも通りで
席はほぼ全て埋まっている状態。

吊革を持って立っていたり、
車体にもたれかかっている人々が
チラホラ

僕も長いベンチタイプの
座席と座席の間のスペースで
吊革を持って立っていた。

僕の近くには数人のサラリーマンや
大学生風の男女、
険しい顔をしたおじいさんなど
様々な人がいた。

発車時刻が迫る。

すると大きなキャリーケースを持った
おばあさんが
小走りで電車に
近づいてくる

発車の合図である音が鳴り響く。

そのおばあさんは
扉の前まで来ると

「これって新大阪停まりますかー？」

大声で電車の中の人間に語りかける

すると
車内の8人くらいの何の接点もない男女が
ピッタリと声を揃えて

「停まりますよ」

答えた。

大人数で言うと合唱のようで
迫力が感じられた。

一斉に皆の顔が赤くなる。

全員がまさか自分以外にも
答える人がいるとは思わなかったのだろう。

一斉に顔を下に向ける。

僕自身も
周りの人間がこれだけ優しく
親切心に溢れているのに対して
何の反応もできなかった事を恥じた。

ふと
先ほどまで険しい顔をしていた
おじいさんを見てみる

彼もおばあさんの問いかけに対して
返事をしていた。

先ほどまでの険しい顔とは裏腹に
良い意味で居心地の悪さを
感じているような
恥ずかしがっているというより
戸惑っているような顔をしている。

可愛い

おばあさんの問いかけに返事した
サラリーマン達を見る。

皆、スマホを操作して
何事もなかったかのように
振る舞ってはいるが
動揺が微かに感じ取られる。

可愛い

次に大学生風の男女を見る。
彼らもまた
おばあさんの問いかけに反応をした。

この２人は恋人同士だろうか
だとするとかなり歴が浅いように思われる。

その初々しさや今起こった出来事も相まって
お互いに
恥ずかしくて目を合わせられない
といった様子だ

可愛い

最後に
キャリーケースを持ったおばあさんを見た。

よく見ると身長や見た目も
本当に可愛らしいおばあさんだ。

走ったからだろうか
肩で息をしている。

少し
落ち着くと

旅行の最後に
いい大阪の温かさに触れることができた。
大満足

といった表情で微笑んでいる

可愛い

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