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美味しそうな出立ちすな

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

「人間が外界の情報を取得する時
その80%を視覚が担っている」

という話を
皆さんも一度は
聞いたことが
あるのではなかろうか

視覚に頼りすぎて
ミスを犯したり
逆に功を奏することもあるだろう

ただそこまで
人間が視覚に頼っているのであれば

全ての事象が
視覚通りの正解になっていても
いいのじゃないかとふと思った。

ここまで読んでみて
ほとんどの人が

わけわからんがな

と思っていると
容易に予測できるが

まあまあ落ち着いて

とりあえず僕の話を聞いてほしい。



僕は数ヶ月前
京都にある1軒の
カレー屋さんを訪れた。

僕はカレーには全く見識がないが
そこの店のカレーは
インドカレーといった感じではない
いわゆる
欧風カレーと言ったらいいのだろうか

洋食屋で出てくるようなカレーの店だった。

比較的重めな木のドアを押し開き

カランコロンカランという
小気味良い音を聞きながら
僕は店内に入った。

カウンターがど真ん中にあり
両サイドに2つずつ
4人掛けのテーブルがある。

決して広くはないが狭くもない店内

1人だった僕は
カウンター席に座った。

目の前に店長であろう
初老の男性が立っている。

綺麗に整えられたヒゲをたくわえ
皿を真っ白なタオルで拭いている。


「いらっしゃいませ」


僕は軽く会釈すると
カツカレーを1つ注文した。

おしぼりと
周りに水滴がついた
キンキンに冷えた水を目の前に置かれる

僕は周りを見回した。

もう14時前だが
常連らしき
近所の主婦風の女性や
作業服を着た男性グループが目立った。


この店ができて
だいたい何年くらいだろうか

20年くらいか?

壁にかけてある時計を見つめる。

長い年月
この店の中の人々を見守ってきたであろう
短針と長針がリズム良く動いている。


僕は確信した。


ここのカレーは絶対に旨い


旨くなかったら
そんなのもう嘘だ

絶対に旨い


僕は己の昂りを懸命に抑えながら
注文が運ばれてくるのを待った


「はい、おまたせー」


ゴン、

重めの皿と木のテーブルとが
鈍い音を奏でる

目の前には
まだ湯気のモクモクと上がった
美味しそうなカレーライス

僕はスプーンに巻いてある
紙ナプキンを取り外すと

さっそく
一口すくい食べる


うっ


なんとも言えない味だ。


なんじゃこりゃ


次にカツをスプーンを使って
一口大に切る

衣が非常に薄く
肉厚で美味しそうだ

食べる

油の質が良くないのだろうか。

少し変な匂いがする。

まずい

なぜなんだ!
あんなに期待させておいて!

ていうかカレーでこんな微妙な味なる?

誰が作っても旨いやろ普通!

僕はマスターの顔を見る
少し俯き加減で皿を磨いている


おいおいいつまで磨いとんねん!


ほんでそのヒゲはなんやヒゲは!
旨いもん作りそうなヒゲすな!

百歩譲って不味いまでは許せた

旨そうな雰囲気にしているのが
許せなかった。

食べ終わる。

店主はまだ皿を磨いていた。


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