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データ完全消去

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)


これは僕が最近、
実家に帰った時に
思い出した話である。


僕の実家は少し特殊な構造で
1階と2階が
父の経営している会社


3階が
僕たち家族が生活する部分
になっている。

この家で僕は
小3から高3までの
約10年間を過ごした。


1階、2階の
事務所や食堂、会議室は
子供の頃の僕の遊び場になっており
その事で何度か
迷惑もかけてしまった。


ほとんどのイタズラは
全く反省していないが
これだけは
ヤバかったなという出来事があった。


あれはおそらく小3の時だ。


僕はその時、
1階の事務所にいた。

そこでは10人ほどの方が働いている。


うちは
新聞販売業並びに
印刷業などをしているので
さまざまな種類の雑紙が溢れている。

おそらく僕はその時
お絵かきをしていた。


しばらく続けていると
飽きてきた。

そして僕は何を思ったのか
事務所のど真ん中にある
最も大切であり根幹ともいうべき
コンセントの方に歩いて行き

蛸足のように色んなコンセントが刺さっている
電源タップのスイッチをオフにした。

パチっのようなカチっのような音が小さく鳴る。


「えーー何ーーーーー!」


「急に消えてんけど!!」


「どういう事ーーーー!?」


さまざまな声が聞こえた。


あれ?

やってもうた?


周りの視線が僕に集まった。


一人ひとりの顔を見る。


今までのイタズラと圧倒的に反応が違う。


「もーう!何してんのあんたー!」

みたいな
少し余裕のある感じの
諭すようなキレ方ではない。


人生で初めて経験するガチギレ


そのあと
改めて親にも怒られた。


今考えても
とんでもない事をしてしまった。


幸いにも
仕事のデータが消えたりすることはなかったが
もしかしたら
完全に消えていたかもしれない。


そうなっていたら大事だ。


仕事がなくなってしまうかもしれない。


そしたら会社に利益が入ってこない。

ということは
僕が生活できない
(結局自分かい!)


データ社会に放り込まれた今ならわかる。


自分がどれだけ
ダメなことをしてしまったのか。

データが完全に
消去されていなかったことだけが
本当に幸いである。




そんなことを考えながら
母親の運転で車に乗って
実家周辺の道を走っていると
(最近の話に戻ってます)


前の家の近くまできた。

前の家とは
僕が小3から高3まで
住んでいた家よりも
前に住んでいたところである。


2階建てで
1階が会社
2階が住居


引っ越す前の家も
引っ越した後の家も
ほぼ同じ構造だったが
何が一番違うかというと
前の家の方が
圧倒的に狭い。

狭すぎるし
汚すぎるし
家の周り森すぎるし
最寄りの小学校治安悪すぎるし

とにかく
引っ越したての頃は
引っ越せてよかったと心の底から思った。


そんな前の家がどんなものになっているか


一目見てやろう

心を躍らせていると
車もどんどんどんどん
近づいていく。

今どうなっているのだろうか
誰か住んでいるのだろうか

きた

家だ。

ドキドキしながら見ると



家が完全になくなっていた。



それどころか
隣の家4軒ほども完全に消えていた。



ないやん


周りの森も
綺麗になっていた。


マジか。


データは完全に消去されていなかったが
生家は完全に消去されていた。

いま僕の頭の中には
その家に住んでいた記憶も
間取りもほとんど何も残っていない。


物心がついてから数年間だったからだろうか



ほとんど覚えていないが
その数少ない記憶を
心に留めておこうと
僕は思った。


「あれ?あんた知らんかったん?」


運転席の母が僕に声をかけた。


「え?どういうこと?」


「いやだから、
壊されたん知らんかったん?」

まさか…母は知ってたのか


言わんかい!


そんなこと普通いうもんやろ


生家やぞ!


生家やぞってツッコミ初めてしたわ!


ていうかもう二度とすることないわ!



最寄りの
治安の悪い小学校の隣を通り過ぎる。



校門から楽しそうに小学生たちが出てきた。


この街も変わってしまったなぁ


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