Look Back

2021年も後半を迎えると同時に、異常気象と胸がざわざわする話題が目まぐるしいスピードで連日移り変わっていく様相に気が滅入りそうな日々ですが、ご覧いただいている方もいかがお過ごしでしょう。
個人的には開幕前が色んな意味で一番盛り上がっているんじゃないのかなと思ったり思わなかったり…。

そんなこんなで本題に行きますが、今日は
「僕が2021年に観た映画に見出した共通点」
について頭の中を整理しながらまとめてみたいと思います。
(※極力ネタバレしないように努めますが注意してご覧ください)


まず今年映画館で鑑賞した新作(鑑賞日)をまとめると


・おもいで写眞(1/30)
・花束みたいな恋をした(2/1)
・あの頃。(2/20)
・あのこは貴族(3/13)
・シン・エヴァンゲリオン劇場版(3/14)
・ノマドランド(3/28)
・街の上で(4/10)
・まともじゃないのは君も一緒(4/12)
・アンモナイトの目覚め(4/13)
・くれなずめ(5/14)
・ファーザー(6/1)
・映画賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット(6/7)
・クルエラ(6/16)
・ブラックウィドウ(7/8)
・プロミシングヤングウーマン(7/17)


この内、殆どのテーマに共通する要素が
「失った(或いは失っている途中の)ものと向き合うこと」
が挙げられるかと考えました。
そもそも映画に限らず作品のテーマって得てしてそういうものだったり?と一瞬考えましたが一旦置いておきます。

例えば大ヒットになった「花束みたいな恋をした」については

【1】冒頭に元カレと元カノが偶然出くわすという現在軸のストーリーが流れる
【2】この2人が初めて出会い、そして交際していた5年間の過去軸のストーリーが流れる
【3】冒頭の現在軸に戻る


という「現在→過去→現在」の大きな括りで分かれており、ここで肝になるのは
「2人が”花束みたいな恋をした”様子」
という既に失われている2人の物語を魅力的に、そして儚く描いていたのがヒットした理由の一つだと思います。

その他、「ノマドランド」では
「今までの”生きる理由”を失っても、自由で新しい”生きる理由”を見出していく」
という現実に起きている社会問題と絡めて描いています。
「くれなずめ」はガッツリなネタバレとなってしまいますが、失っている状態からストーリーが始まっていくことで観客と一緒に答え合わせしていきます。
「ファーザー」は記憶が混濁している父親が、現在進行系で「記憶を失っている」様相を生々しく見せつけられていきます。


このように偶然の重なり合いということもありますが、同じ時期に様々な角度から「失ったものと向き合う」ことを肯定し、観客に訴えかけている作品が2021年映画の傾向なのではないかというのが個人的な所感です。
最近話題の読み切り漫画「ルックバック」についても、
「大好きなものを通して、失った大切な人のことを振り返る」
という読者の心に訴えかけるシンプルなテーマを描いていた結果があの大反響だったように思います。


ここでもう一つ共通点を見いだせる要素として、

「花束みたいな恋をした」「あのこは貴族」「ノマドランド」「街の上で」「まともじゃないのは君も一緒」「アンモナイトの目覚め」「クルエラ」「ブラックウィドウ」「プロミシングヤングウーマン」

と、昨今のトレンドでもある
フェミニズム/シスターフッドなど現実世界で失われている女性らしさや女性の生き方について考えさせる作品
も同様に増えてきたように思います。

僕は性別上は男性で、女性が現代社会で抱えているジレンマや悩みなどを完全に理解できているわけではないでしょう。
ただ第三者から見ても明らかである旧態依然な価値観を生々しく捉え、そして映画というエンターテイメントとして単に描いているのではなく、本来こうあるべき価値観や世界を描いている作品が続々と評価されていることは素晴らしいことですし、それに感化されて現実世界も変わっていってほしいなと切に願います。


うまくまとまりきっていないかもしれませんが
「大切な何かを失うこと」それ自体もテーマとしてよくありますが
「失ってからどうするのか?失っている今からどうしていくのか?」
という考えさせる内容は、今までと比べて時間や体験、安心安全、それらをひっくるめた日常など大小問わず失われている現実世界にも同じことが言えるのではないかと思います。


それでは本日はこの辺で。