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vol.5:「家族なんだから大事にしなさい」という名の“呪縛” その①

川島田ユミヲ、41歳。独身、家族と実家暮らし。

と書くと、世間一般的には「40過ぎても結婚できない女」と思われるだろう。まあいい。事実である。

そもそも「結婚して家族になる」という、行為?仕組み??に、二十代の頃から、これっぽっちも興味がない。今のところはね。10年先、もしくは1年先は考えが変わってるかもしれないので、今のところは。明日何が起こるかだってわからないしね。なので、今のところ、結婚に興味がありません。という表記にしておこう。

過去に1.5回ほど同棲生活にも失敗してお別れを言われた身なので、他人と一緒に暮らすという事がべらぼうに高いハードルになってしまった。まあ、仕方がないです。私生活はかなりガサツなので。お相手をガッカリさせてしまったんですね。

あとは、前回のコラムでも書きましたが、

川島田家は、やれ家庭内別居だの、母親の不倫だの借金だの、追加するなら母親から私とキヨはよく掃除機の柄だったりハエはたきといった棒状のもので殴られては

「お前なんか親でも子でもない」

と、成人になるまで言われ続けてきたので、幾度となく「昼ドラかよ」と突っ込みを入れながら生きてきました。

糸があっちゃこっちゃ絡まり続けていて、尚且つその糸がまあ色とりどりと言いますか、むしろ悪い目眩がしそうな極彩色で、全然魅力を感じないなあ。というのが、私の現在までの「結婚観」であり「家族」というものに対する「価値観」かもしれません。

無論、結婚という制度に対しては何の文句もないし、結婚して幸せをつかんだ人は勿論おめでとうですし、あくまでも私の価値観のお話。

ただ、自分の “家族” というものに対する価値観、というか考えは、この先もずっと変わらない気がする。

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数年前、うつ病で糖尿病の母親が精神科から退院したときに、訪問看護師さんをつけようとお願いしたものの、母親は看護師さんの言う事が気に食わなかったらしく、毎日血糖値を図るように言われても(指に針指すタイプのやつ)、

「痛いからやりたくない。あんたたちにこの痛みはわからない」

と言うとおりにせず(ユミヲ心の声:わかるわけないし、元はといえば自分の不摂生がちりつもで糖尿病になったんじゃん)、服薬も飲んだふりをして

「実は飲んでませんでした」

と噓をつき(ユミヲ心の声:昔からそうだけど、簡単にバレる嘘ついてんじゃねーぞ)、挙句の果てには訪問看護師さんに

「もう来ないでほしい。あんたたちに私の辛さなんてわからない。」

と怒鳴り散らし、私に向かって

「あんたなんかもう親でも子でもない。」

はいー出ましたー、感情的に絶縁。数年ぶり数十万回目の絶縁。

そこで今まで色々やってきた私の心の糸はぷっちーん、と切れてしまい、以来何度か家族全員集合の食卓で母親と口論になりましたが、一度だけキヨが私の方へタタターッ、と寄ってきて、手で私の口を塞ぐんです。で、そのあと笑い発作を起こしました。

おそらく、おそらくではありますが。キヨなりのケンカの仲裁だったのでしょう。母親は我々姉弟にとって「脅威」ですから(やめとけお前マジやめとけって!)と、私を黙らせようとした。勇気を振り絞ってみたらコーフンして、発作が出てしまったのかもしれません。

母親には何も思いませんが、キヨに心配をかけてしまって、かつ体を張らせてしまって、申し訳ない気持ちになりました。

それ以降、もう母に干渉するのは止めました。感情的な絶縁ではありません。塵も積もって見事なまでの山になりました。標高が測定不能な「絶縁山」です。

今までお会いする方に

「SNSにお母さん出てこないよね?」

って言われたことがありますが、まあそういう事なんです。

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「お母さんのこと大事にしてあげなきゃね。家族なんだから」

家族だったら何してもええんか。家族だったらひどい事言ってもええんか。家族だったら娘の名義のクレジットカードでキャッシングさせて、返済は娘がするんか(これは私じゃなくて2歳上の姉が母に頼まれてそうしてた)。家族だったら寝てる隣でこれ見よがしに延長コードで首くくって自殺しようとして、止めてもらえなかったらやめるんか。

それでも、家族なんだから “愛してあげなさい” と言うんか。

大きなお世話じゃくそボケ。

…はっ!やだ、お口が…つい乱暴な言葉を…!(今更遅い)

しかもこの「家族なんだから大事にしなさい」を、よく事情も知らん人が言う事が多いのである。知らんから言えるのか。それが美しいからなのか。私もTVっこだから大概やけど、ドラマの見過ぎか。そりゃ美しいさ。家族という “絆” は。友達や恋人のそれとは違う。それはわかる。でもその「家族」という括りは、裏を返せば “呪縛” でもある。

世間一般的には「自分の事を最もわかっている存在=家族」だったり「甘えられる存在=家族」なのだろうか。

私にとって、それは大きな “呪縛” でしかない。

家族だから頑張らなきゃいけない、とか、家族だから一緒にいなきゃいけない、とか。誰が決めたん?血が繋がってても、培ってきた養分は間違いなく異なる。家族でも “他人” だ。

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ここまでお読み頂いて

「あれ、ユミヲお前、キヨという “家族” をめっちゃ大事にしてるやん。」

とお思いの読者さまが殆どだろう。矛盾が生じている、とお思いでしょう。

キヨは、家族でもありますが、姉弟(きょうだい)だからです。

先述した通り、川島田家は20年以上家庭内離婚状態で、母親は我ら姉弟にとって「脅威」以外の何物でもない。その「脅威」は弟たちが幼い頃から(今思えば)借金返済のためにほぼ毎日パートで働いていたので、姉弟で過ごす時間がままあったわけです。特に私はキヨとTV観ながら歌ったり遊んだり、末弟kjと一緒にスーファミやってわいきゃいする事が多かったので、姉弟の中では

「怒られるの嫌だから大人しくしとこうぜ…」

という、暗黙の了解みたいなものがあるのです。そのぶん、姉弟の結束が強めと言いますか、おそらく弟たちにとっては “遊んでくれるご陽気な姉” なのでしょう。末弟に関しては、母親に相談できない事を話してくれたりもしました。家族である以上に、姉弟という気持ちの面での “絆” みたいなものの方が、強いのかもしれません。少なくとも、私はね。

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そんな「家族」というものに対する考えを持ち続けたある日、私はTwitterのタイムラインに流れてきた本のタイトルに、首を高速で縦に振りまくった。

岸田奈美さん 著「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

そう!まさしくこれよ、これこれこれ!!!!!

岸田奈美さーーーーん!!私もそれでーーーーす!!!

家族だから障害を持つ弟のサポートをやれてるかというより、私はただのブラコンなんです!!!

なんていうか、おこがましいですけど、姉という立場だったり、弟さんと良好な関係を築いているところとか、勝手にリンクするし。noteの有料のマガジンも全部読ませて頂いてますが、人との距離の取り方とかめっちゃくちゃ共感できる。

そしてまさかの共通項もういっこみつけた。

Creepy Nutsの武道館ライブ、私も行きましたーーーーーーー!\('Д')/

日にちは私は初日で、岸田奈美さんは千秋楽だったみたい。ニアミス!でも同じ空気を味わっていた!!!!!!!

あーーーーーー岸田奈美さん、私と友達になってくれないかなーーーーーー! “友達” だなんて、急に距離詰めすぎかもしれないから、私の存在だけでも知ってくれないかなーーーーーーーーーーー!!!!!まじで「まずは名前だけでも覚えて帰って頂いてですね」っていう芸人さんの気持ち!!!!

Creepy Nutsの話、しませんか!!私もちゃんとCreepy NutsのLIVE観るの、武道館が初だったんです!!!!あの日の武道館で感じた気持ちを語らいませんかーーーーーー!!!(既に急に距離詰めすぎてる)

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岸田奈美さんは、ちょっと今色々とアップアップな状況にいるらしい。様々な出来事が重なりまくって「もうあかんわ」ってなっているらしい。

環境的に、思う存分吐き出せる人がいない。わかる。わかるって簡単に言うもんじゃないけど、マイルドかつ今風に言うならば、わかりみ。わかりみ “しかない” って言っちゃうと限りなく「わかる」に近づいてしまうので、わかりみ止まり。わかりみ止め、にさせて頂く。

私も、自分の経験を、自分の言葉を、誰かに笑ってほしい。

その思いは、こうして文章に書く前から、ずーっとあった。特に昔から私の事を知っている人だったり、Facebookの個人アカウントのノートに彼是書いていた頃から知っている人は、おそらこの意味をわかってくれると思う。

だけど「障害がある弟が~」とか「うつ病の母親が~」とか「姉が透析してて~」とか「父親がパーキンソン病に~」とか、字面だけでは全く以て笑える事象ではない。

でも、どうやったら聞いてくれる人が笑ってくれるかを、ずっと考えて話してる。上記した文頭の次に並べる言葉を、どうしたらちょっとだけでもクスっとしてもらえるだろうか、と、いつも考えてる。

考えた結果がコチラの記事で紹介した

今までの川島田家は6人中3人、即ち「家族の半分が障害者(手帳を持っている)」がもはやキャッチコピー。それに父親のパーキンソン病が加わることで「家族がほとんどビョーキ」にキャッチコピーを変更した次第であります。

こういう切り口なんですけれども。笑

だから、自分の身の回りで起きている事を

「大変だね…(´・ω・`)」

って、↑こういう顔で言われたいんじゃなくて、聞いたり読んだりして下さる方に(´・ω・`)←こういう顔をさせないように、ちゃんと途中で笑ってもらえて、解決できる事案じゃないにしても話のオチはちゃんと考えないとな、と思っている次第です。

家族という名の “呪縛” から逃れられないのなら、ユーモアにして稼いでやる。

どっかの誰かが「へえ~、こんな人もいるんだな」って興味を持ってくれたら、何かのきっかけになってくれたら、こんなに嬉しい事はない。私も、たくさんの方々から、色んなきっかけや色んなパスをもらってきた。人生救われたと思う事も何度もあった。

なので、こんな文章でも良ければ、是非サポートしてください。(記事の最後に「サポートしませんか?」のボタンがあります)

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おっと、久々にこんな時間(いま25時過ぎ)までパソコンガタガタいわせてたら、

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キヨがトイレに起きて1回は布団に戻ったけど、すぐムクリと起きてきて布団に強制連行されたぜ。笑

あーでもこーでも、とうるさかったね、かたじけない。

では、今日はこの辺で。その②は近日書きまーす!



ハードルがあるのは障害者だけじゃない。「私たちは健常者だから」と言うそこのあなただって、職場や家族間での対人関係だったり病気したり大変な事(ハードル)が沢山あるでしょ?という意味で、エッセイのタイトルは「世の中全員、障害者。」と言います。おススメ&サポートして頂けたら嬉しいです。