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【特許情報】中国最高裁判所、行政訴訟における新証拠の審査

本件は特許無効審判に関する行政訴訟であり、最高裁までの訴訟です。

中国国家知識産権局無効成立の判断に不服する特許権者は、裁判所に訴えを提起しました。

一審では、特許権者は二回に分けて7つの証拠を裁判所に提出したが、裁判所は証拠の合法性を有しないと特許権者の訴訟請求を却下しました。

その理由とは、特許権者はこれらの証拠を無効審判に提出せず、訴訟過程に提出する理由については合理的な解釈がないこと。そして、国家知識産権局もこれらの証拠を考慮した上で無効成立を判断していないことです。

上訴審の最高裁では、「最高人民法院による特許の権利付与・権利確認の行政事件の法律適用に関する若干問題の規定(一)」の第29条に基づき、新たな証拠を審査すべきと判断しました。

また、無効審判請求人に対しても、もし関連証拠は行政決定の審査範囲を超えた場合、一般的には裁判所は審査しないです。ただし、最高裁からは、新たな証拠を提出した場合、新事実・理由の証拠ではなく、または当業者や一般消費者の知識水平と認識力と関連する証拠等は、裁判所は審査すべきであると、明示しました。


本件は日本でいう特許審決取消訴訟です。
主な争点は、審決取消訴訟の段階で新たに提出した証拠が採用できるかどうかのことです。

一審では、採用できないと判断しました。
その理由は、無効審判で審決を下す国家知識産権局が新証拠について見ていないし、新証拠の提出側からもなぜ無効審判で提出せず、訴訟段階で提出する合理的な理由がないです。

二審の最高裁(中国では最高人民法院と言います)では、
「最高人民法院による特許の権利付与・権利確認の行政事件の法律適用に関する若干問題の規定(一)」という規定を引用して、
もし新証拠は新事実・理由の証拠ではなく、または当業者や一般消費者の知識水平と認識力と関連する証拠等は、裁判所は審査すべきと判断しました。

結果として、最高裁は証拠の信憑性、合法性、関連性について審査した上で、一部の証拠を採用し、提訴人(特許権者)の上訴請求を受け入れました。

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