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現役介護職と共に、高校生が介護の魅力を体感するゲーム型授業始動!

2021年度、千葉県庁さんとご一緒して県内の高校生を対象に介護の仕事を身近に感じ、その魅力の一端を知ることのできるプログラムを開発。2021年12月1日を皮切りに、県内の5つの高校で授業を実施させていただきます。

千葉県では、従来より「介護の未来案内人」として、介護の現場で働く若手職員の皆様が県内高等学校や日本語学校などの生徒さんに介護の仕事の「魅力」や「やりがい」を伝えています。
今回のプログラムでも毎回4人程度の案内人の皆様にご協力いただき、ともに授業を展開しています。

千葉県介護の未来案内人twitter
https://twitter.com/chiba_c_fg19

現場の姿を伝える動画教材の活用

今年度は福祉科や福祉コースの生徒さんを対象にしていますが、年次によってはまだ福祉施設での実習等を行なっていないこと、今後は普通科の生徒さんも対象にしたいことから、授業の中でも、なんとか現場のイメージを持ってもらえるプログラムにしたい・・・
悩んでいた時に出会ったのが、一般社団法人FUKUSHI FOR CONVIVIALITYが公開している『介護とは何か。 - 生活を整えていく実践 -』という一本の動画でした。

特別養護老人ホームで暮らす利用者さんの姿と、介護職員をはじめとするスタッフの関わりを半年間の密着取材で捉えた動画で、視聴した生徒さんからは、「福祉の授業は難しい言葉だらけだけど、動画を見て初めて現場のイメージがわいた」「動画の中で、利用者さんとの関わりをチームで検討しているシーンがあって、介護ってチームワークなんだと初めて知った」など様々な意見が寄せられています。

正解のない問いと向き合う。介護職の日々の実践

「介護の仕事を、少しでも身近に感じてもらえる、その魅力を疑似体験できるようなプログラムとは?」
半年にわたる開発期間の中で、この問いにこたえるべく様々なプロトタイピングを行いました。

介護の未来案内人さんをはじめとする専門職の方へのヒアリングを通じて「介護は、正解不正解というのがその場でわかる仕事ではない。その場で考えて選択した行動が正しいかどうかは、積み重ねの中でしかわからない。その複雑さが難しさであり、関わりの中に答えがあるという面白さでもある」というご意見を多くいただきました。

そこで、今回のプログラムのコンセプトを「正解のない問いと向き合う介護職の日々の関わりを疑似体験すること」に定め、この授業が誕生しました。

実際の授業風景

初回は、千葉県立君津青葉高等学校様にお邪魔させていただきました。
授業は、グループワーク形式で行います。
各グループには、介護の未来案内人の方に入っていただき、生徒さん同士の意見交換を横で聞き、「実際の現場ではどう対応しているか」など現場の知恵についてお話いただきます。

授業で考える問いは「自分で食事を満足に食べることができずやせ細っていく利用者さん。介護職員が食事をすべて介助する?しない?」といった、介護職の方が日々向き合っている、正解のない問いの数々です。

生徒さんは、手元に配られたYES/NOのカードを使って意思表示。グループごとに多数派/少数派が生まれます。
意思表示のあとは「なぜ、その答えを選んだのか?」理由をグループで共有します。

「介助をした方がいい」理由として
・まずは栄養を十分に取ることが大切。職員が介助してでもきちんと召し上がっていただいた方がいい。
・今の体力では、自分で食べることは難しいのではないか。職員が介助したほうがいいと思う。

「介助をしないほうがいい」理由として
・スプーンを持つという動作も、日常の大切な動作。途中から介助するにしても、機会を奪わないほうがいいと思う。
・力の入らない人でも持ちやすく工夫されたスプーンや食器があると授業で習った。まずはその方法で自力で食べてもらうことを支援したい。

様々な理由が出てきます。
意見交換をしながら生徒さんの中から「相手の意見を聞いてなるほどなと思うことがたくさんあった。どっちの考え方もあるから、多数決だけじゃなくてちゃんと相手の意見を聞くことがすごく大切だと思った」「介護について、クラスの仲間の意見を聞くのは新鮮だった。もっと普段から意見交換をしたい」という声も聞かれ始めます。

介護の先輩からのフィードバック

最後には、介護の未来案内人の皆さんから現場の先輩として、ご自身が現場で直面してきた葛藤や、そこを乗り越えて得たやりがいなど、思い思いにお話いただきます。
現場の事例に加えて、自施設の新人さんたちも日々正解のない問いに悩みながらも向き合い成長していることのシェアや、高校でもたくさん学びを深めてもらい、数年後介護の現場で再会したい!という熱い応援メッセージも聞かれます。

生徒さんからは、「テーブルで意見を交わした案内人さんも、同じように悩んだりしていて、日々こうやってチームで議論しながら利用者さんと向き合う仕事は難しそうだけどやりがいのある仕事だと思った」といった感想も寄せられました。

案内人の皆さんからも「こうやって高校生と意見交換をすることで、初心を思い出す機会になった。介護現場の先輩という立場で参加しているけど、今日は改めて介護で大切なことをこちらが教わっているような感覚でした」という嬉しいお声をいただいています。

より多くの方にこのプログラムをお届けするために

今年度はあと一回を残すのみ。新型コロナウイルスの感染拡大も鑑み、介護の現場で活躍される案内人の皆さんには安全を確保するためオンラインで授業にご参加いただくなど、試行錯誤の中でプログラムを進めています。

次年度は、より多くの方にこのプログラムをご体験いただけるよう、歩みを進めてまいります。
引き続き関係者の皆様、よろしくお願いいたします!

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