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小説まとめ

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小説・エッセイを中心とした読み物をまとめました。
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#小説

短編小説「二人のふた」

 夜、家に帰ったら、「あれ」のふたが開いていてびっくりした。これはただごとではない。なに…

9

短編小説「恋愛禁止条例」

 「お母さん? うん、いま着いた。これから帰るから。え? うまくいったよ。あー、まあ、後…

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短編小説「セレブとイケメン」

 なぜ男は、自分よりもお金を持っている女が嫌いなんだろう。以前、友達のオカマのユミにそう…

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短編小説「あなたへ」

 あなたにこうやって手紙を書くのは、初めてですね。緊張もするし、なにをどんな風に書けばい…

10

短編小説「婿を買いに」

 婿を買いに行く前の日、私は美容院に行った。    いつも担当してもらうミナさんが休みだっ…

24

短編小説「いつまで女子会」

 ナオはさっきから30分ばかり、延々と子どもができないことを嘆いている。結婚をしてみたら子…

18

短編小説「リスク」

 片桐はリスクというものが大嫌いだった。  危ないこと、よくないことが起きる可能性をことのほか怖れ、自らを「危険恐怖症」と笑うこともしばしばだった。    学生のころから、川のほとりを歩かなかった。一緒にいた友人から理由を問われると真顔で「だって、いつ氾濫するか分からない。危ない」と答えたものだ。    電車も先頭車両には絶対乗らない。万が一衝突事故が起きたときに、危ないからだ。「景色がいい」とか「乗り換えに便利」とかそういったことは、リスクの前にはささいなことだった。  

短編小説「ヤバい女」

 うちの彼女はどうもヤバい。そう思い始めたのは、なにも最近のことではない。  だいたい初…

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短編小説「弁護士は嘘をつかない」

 弁護士の夫が「お前、浮気してるだろう」と言ってきたのは朝食の席だった。  よく晴れた夏…

34

短編小説「恋愛として完璧」

 え? ストーカー? いつから始めたかって? そうだなぁ、彼女にふられてすぐだから、4ヵ…

31

短編小説「ヘアとかわいさと私」

 「で? いい加減決まった?」    ミユキさんから声をかけられて、私は弱りきった顔を鏡に…

27

短編小説「彼女は寝てばかり」

だいたい初めてデートに誘ったときだって、ナオコさんは寝てたんだ。 女の人を、しかも好きに…

39

短編小説「コンクラーベ」

たくさんたくさん前置きと言い訳を重ねて、傷つけまい傷つけまいとしながら、結局は思いついた…

7

短編小説「皿を割る」

夜、流しで皿をうまく割ろうと思ったら、それにはやはりコツが必要で、ただやみくもに叩きつけたり、おそるおそる高いところから落っことしても、ステンレスが「べぐん」という衝撃を吸収してしまい、うまく割れない。 だから私はいつも、最初に割れやすいガラスのコップを2つ3つ割って、土台というか地面をつくることにしている。 ビールを買うとついてくるロゴ入りの景品のグラスなんて、割れやすいし破片も大きいので最適だ。そうしておいてから、その上にメインの食器を落としていく。固いガラスの破片と