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ここ最近近所で非常に丁寧な戸建住宅のエクステリアのお仕事をされている職人さんが二人で毎日仕事をしているのだが、年配の親方のほうが向こうから歩いてくるのが窓越しに見えたので下に降りて声をかけたところ、同業ということもあってしばし気さくにお話ししてくださった。

その話の中で僕自身が今後の取引をするお客さんの価値観や感性がこのようにこちらと合致していればと思っているのだけれども、なかなかそうなるとどうにも絞れずにまだ探している最中なんです、という話をした後、これまで携わってきた仕事を簡単にお話しして、また話ができたらいいなと思って別れたところ、3時間ほど経ったのちにドアベルの鳴る音がしたので出てみると先ほどの親方さんだった。

「これくらいしかお役に立てないですけど」と、差し出された何やら小さな紙には、なんと自身がここ20年ほぼ専属的に契約していると数時間前に言っていた元請け会社の管理職に就いている方の電話番号と連絡のつく時間帯が書かれている。

「私の名前を言えば話は通してあるので。あとは西澤さんの施工実績が写真か何かで見たいと言っていました。週末なら話せるらしいです。一度お話しされてみては」とその年配の親方がおっしゃる。

なんということだろう。下手すれば僕は競合相手なのではないのか?どうしてそこまで良くしてくださったのか。流石にこれには感動してしまい、とりあえず上がってお茶でもぜひ、と言うと「路駐してますから。あ、でもちょっとなら、」と言いかけてくれたが路駐はまずい。ここのパトロールは強化されている。少し話したあと、車まで見送り、別れると親方さんは曲がり角に消えた。

素晴らしい人たちが世の中には本当に沢山いる。自分も将来30ほど歳の離れた人間に、そんなことができるだろうか。

今日は自分のためだけに日記的に出来事を書き残すことにした。


( 文・写真 / 西澤伊織 )

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