恋のおわらせ方
夏真っ盛りに始まったその恋は、秋の足音が聞こえるか聞こえないか、10月の私の誕生日さえ迎えずに終わってしまった。11月のあなたの誕生日も、勿論まだ先だ。もしも一緒に過ごせたら、どこに行っただろうか、何を食べただろうか、どんな顔で祝い、祝われただろうか。そんな事を考えない訳では無いけれど、それは手に入ったかもしれない未来なんかじゃない。最初からなかった、自分の頭の中の単なる想像、いや妄想に過ぎない。さっきからずっと目から溢れ出て止まらない涙はただの塩水だし、目を閉じる度に浮かぶその笑顔も横顔も、ただの幻想だ。そんなものは頭の中から追い出してしまえ、と頭を振る。振る。振る。出てってしまえ、出てってしまえ。鬼はーそと。そしていつか福となったら戻ってこい。それまで、ばいばい。
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