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シェイクスピア「真夏の夜の夢」とVR演劇の親和性

真夏の夜の夢との出会い

玉川大学の芸術学部出身の筆者は所属していた研究室のデザイン教室のある棟の反対側に演劇学科の棟があり、演劇科の学生と交流こそなかったがコスモス祭(学園祭)を通じて発表を観劇していた。
4年生の3月当時、卒業公演の演目がシェイクスピアの「真夏の夜の夢」だった。芸術学部の学生は招待されて全員が観劇した。

狂言回しの妖精パック

狂言回しの妖精パックはかなり上手な役者が演じるのがお決まりなのか、
卒業公演のパックも、メタシアターのパックも台詞回し、発声の若々しさ、立ち振舞い演技力。両者ともに目を引いた。
素人目からしても力量があったのは歴然であった。

メタシアターの場合、キャストとキャラクター性

玉川大学での話を続ける、実は個性的な脇役というのは演じやすい。
キャラクター性の濃い人物像を演じるのは誇張すれば容易く、
日常的な世界観での目立たない、いわゆる普通の主人公を演じるほうが難しいというのは、中学時代、演劇の鬼と呼ばれていた先輩の受け売りだ。

メタシアターでは全員が個性的なキャラクターであったので、非常に驚いた。個性の方向性もバラエティー豊かで凸凹したバランスが何故か全体を調和させていて舌を巻いた。「そういう戦略もあるのか」と。

VR演劇は発展途上、だからこそ

アバターの見た目の違いやギミックの妙、演出などの小道具だけに頼らず、
配役と演者の力量差を目立たせない創意工夫。
シェイクスピアの古典を選ばれたのは大正解だったと思う。
市民と職人との階級差や市民といえどの不自由さを包むデウス・エクス・マキナ的存在のオベロン王の鶴の一声。
旧世代の演劇に新世代の技術の混じり合ったVR演劇の真髄を垣間見た気がした。温故知新に学び脈々と受け継がれるエバーグリーンの系譜。

私達はVRパックの祝福を受けた最初の世代かもしれない。

いおだいお

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