やまと絵は江戸がアツいか #36
『特集 近世のやまと絵 -王朝美の伝統と継承- 』
東京国立博物館
2023年11月18日(日)
東京国立博物館で開催中のやまと絵展。その続編として、常設展で「近世のやまと絵」という特集が組まれていることを知っていますか?
やまと絵展は、室町時代までのやまと絵を展示していますが、この特集は、安土桃山時代と江戸時代のやまと絵にスポットライトをあてています。
今日の一枚は、深江芦舟「蔦の細道図屏風」。伊勢物語の宇津山の場面を描いています。
旅の途中で出会った知り合いに、恋人への手紙を託す場面ということで、その知り合いの背中を見送っています。
物語的に寂しい場面で、色使いも渋めですが、赤い山と赤い蔦が効いていて、カッコいいと思います。
深江芦舟は尾形光琳の弟子だそうです。この絵には、俵屋宗達の雰囲気を感じがしますが、どんなもんでしょうか?
緑と金が褪せていて、パキッとした感じが薄れてますが、おそらく当初は絢爛な感じだったことでしょう。写真のように遠目に見ると、大胆な構図に色紙がペタペタと貼り付けてあって、とてもきらびやかです。六曲一双の堂々たる屏風です。
大きくてキラキラです。屏風自体も大きいのですが、右隻から左隻に渡る橋、クローズアップされている柳、そして水車が、いずれも存在感を放っていて、大きさを際立たせています。
扇はもちろんなのですが、特に背景の渋さにグッときます。
ブドウの房が美しくて、この部分を撮影したのですが、ブドウと同じくらい朝顔も美しかったです。
やまと絵は、その本流であった宮廷絵所預(えどころあずかり)の土佐派の家系が室町時代末期に断絶したことによって、誰もがやまと絵師を名乗れることになり、安土桃山・江戸時代以降、百花繚乱の発展を遂げたんだそう。
やまと絵展では、やまと絵が時をおうごとに雄大で派手になって行くのを見て室町のやまと絵がいいねと感じました。ですが、「特集 近世のやまと絵」を見て、やっぱ江戸でしょと思い直しました。だって、これほどにも、多種多様でインパクトあるやまと絵があるのですから。
この特集は、常設展のなかの特集展示に過ぎませんが、その特集専用の図録と言っていい書籍がミュージアムショップで販売されていました。買っちゃいました。
この特集のホームページを見ると、10月15日まで、酒井抱一の夏秋草図屏風が展示されていたんだそうです。全然知らなかった。もっとアピールしてよ。。
上野は紅葉が始まっていて、ところどころ見ごろになっていました。
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