尾形光琳の燕子花図屏風 #51
『特別展 国宝・燕子花図屏風』
根津美術館
2024年5月11日(土)
今日の一枚は、尾形光琳の国宝 燕子花図屏風。
尾形光琳は、燕子花(かきつばた)を型紙を使って描いたという逸話がある。
それもあって、意匠化された燕子花の花が正面を向いてペタペタと貼り付けられたように描かれているイメージを持っていた。
この屏風を見たのは今日で3回目。3回目にして初めて気づいたのだが、花は必ずしも正面を向いてペタペタと貼り付けられている訳ではない。
花の根元の緑色の茎がハッキリと描かれていて後ろ向きと思われる花もあれば、つぼみもある。
また、特に右隻の燕子花の青には、おそらく3色の異なる青が使い分けられている。かつ、厚塗りであり、ボッテリとした花びらの厚みが伝わってくる。
今回の発見はもうひとつあった。
右隻の燕子花は横に並列的に、左隻は対角線に斜めに描かれているのだが、ただ、それだけではない。
当たり前だが、植物は茎の上に花がついている。だが右隻の燕子花は、茎と花がつながっていることを半ば無視して、緑の葉と、青の花が、不自然にならない程度に、別々にレイアウトされている。
右隻の燕子花は、横に並列的に描かれているように見えて、青い花は、右上から左下に斜めに配置されている。
左隻の燕子花は、斜めに配置されているように見えて、花は手前に向かって配置されている。
こんなレイアウトにすることで、奥行きが出ているように見える。いや正確には、奥行きというよりも、手前に向かっているような立体感になっている。
燕子花の盛りは過ぎていたが、また新たな発見があった根津美術館であった。
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