本阿弥光悦の作品世界 #40
『特別展 本阿弥光悦の大宇宙』
東京国立博物館
2024年2月4日(日)
今日の一枚は「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。俵屋宗達が飛び渡る鶴を描いた料紙に、本阿弥光悦が和歌を散らし書きした一巻。
絵と文字が見事に融合して一つの作品世界を作り上げている。
飛び立つ鶴の、見事に躍動的なことよ。そこに散らし書きされた筆跡の、何とも美しくバランスしていることか。
硯箱の盛り上がった形もさることながら、ある種の乱暴さをもって真ん中を横切る黒々とした鉛、これが見る者に強烈な印象を与える。
ここにも光悦の散らし書きが炸裂している。
加賀藩前田家に伝来した刀。銘字が光悦の筆になると言われている。
蓮の花に、またもや光悦の散らし書き。
高階秀爾の「日本人にとって美しさとは何か」(2015年、筑摩書房)で曰く、このように絵の上に文字を書いてしまう作例は日本にしかないと。違和感ないのは、私が日本人だからか。
貼り付けてある色紙は本阿弥光悦によるものだが、この屏風に様々な色紙が貼りまぜられていることによって、単なる桜と山吹の屏風から、さらに一段、格調高いものになっている。
今年最も注目していた美術展であったが、寛永の三筆と言われる本阿弥光悦の美術展らしく書が多く、難解な美術展であった。
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