マティスのブルーヌード #42
『マティス 自由なフォルム』
国立新美術館
2024年2月24日(土)
今日の一枚は、アンリ・マティス「ブルー・ヌードIV」。
太ももから足先へのフォルムは、ヌードの生々しいエロさは捨象され、かつ女性的な美しさだけが抽出されたようで、とてもおしゃれだ。
マティスの切り紙絵を見ると、センス一発で、チョキチョキ、ペタッと完成させたかに思ってしまう。
マティスは作品の制作途中に写真で記録を残しており、完成までの9段階が図録に掲載されている。これを見ると、何度も何度も試行錯誤を繰り返した末のことと分かる。
右足の膝のところに貼られている濃い青の紙片は、7段階目に現れているのだが、あえて、この場所に、この色の、この形の紙片を貼り付けたということか。恐るべしマティス。
切り紙絵の大作である。明るくて心地よい。再現してくれた関係者の皆さんには頭が下がる。
アトリエの写真の左上に「葦の中の浴女」が写っている。ここで切り貼りしていたのだろか。制作の臨場感は伝わってこない。おしゃれな部屋である。
筆と墨によるデッサンである。単純化されたプラタナス。家に飾っておきたい。
ブルー・ヌードでは試行錯誤の迫力を記載したのだが、これはセンス一発で一筆書きしたか。マティス感が溢れる。1951年に日本で開催されたマティス展の主催であった読売新聞社に寄贈されたもの。
礼拝堂にあるものは言うまでもなく、単独で見てもキレイである。色の組み合わせが良いのだろうか。とてもイキイキした海藻である。
ヴァンスのロザリオ礼拝堂の建設に合わせてデザインされた、緑色、紫色、白色、黒色、薔薇色のマケット。黒色のシャープさが際立つ。
ステンドグラスからの光が写り込んでいる。本物はどんなに美しいことだろう。
命の木から差し込む光が、紫と青いかげを落としている。
この美術展は、1950年ごろの切り紙絵とデッサン、そしてロザリオ礼拝堂にかかる作品が充実していた。2023年のマティス回顧展からの、2024年の本美術展を、ひとつながりとして見ることができてよかった。
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