保護犬をお迎えするときに、保護団体団から聞かれたこと
私が一頭目の保護犬をお迎えしたのは7年前。
二頭目をお迎えしたのは4年前。
最近は保護犬・保護猫カフェや譲渡会も増えて、
保護犬をお迎えすることが、少しずつ広がってきているように感じます。
保護犬をお迎えする際の審査
保護犬を引き取る際には、細かい審査が設けられています。
私が聞かれたのは
・犬の飼養経験
過去に犬を飼っていたことがあるか
適正な飼養の知識があるか
(適切な食事、散歩、トレーニング、衛生管理、定期検診など)
・家族構成
夫婦どちらかに病気や怪我があった場合、他家族の手助けは得られるか
出張や旅行などの不在の期間がある場合は、犬はどうするか
・年収、貯蓄
犬の飼養にかかる費用を把握しているか
無理なく捻出できるか
・今後のライフプラン
子供を持つ予定はあるか
子供にアレルギーが出た場合に、犬はどうするか
転居や引っ越しの予定はあるか
転居や引っ越しがある場合、犬はどうするか
家族の介護などが必要になっても、犬を飼養することができるか
などなど。
こんな感じで、かなり突っ込んだ質問をされます。
審査が厳しいのは当たり前?
・里親側の気持ちで考えてみる
私はたまたま既婚者で、子供を持つ予定のないライフプランで、両家の家族も犬が好きで、金銭的にも余裕があって。
諸々の里親の条件を満たしていたので、譲渡はスムーズでした。
でもねー、現実にはそんな夫婦は少ないよね。
「保護犬をお迎えしたくても審査が厳しくて譲渡してもらえない。」
「でも犬は飼いたいから、ペットショップかブリーダーで購入する。」
っていう流れが起きてます。
実際に、お散歩中にいろんな飼い主さんとお話する中で、
「うちも保護犬を迎えたかったけど、審査が厳しくて。結局ブリーダーから購入した。」
という方が何人かいました。
里親に立候補する人にとっては、審査は厳しいと感じることが多いでしょう。
厳しく聞こえるけど、審査をクリアできないってことは
「犬を飼える環境・知識・メンタルが揃っていない。」
とも言える。
・保護団体側の気持ちで考えてみる
ブリーダーやペットショップで犬を買う時は、こんな質問はほぼされない。
ぶっちゃけお金を出せば、誰でも購入できてしまいます。
で、
「家庭環境が変わった」
「こんなはずじゃなかった」
「もう飼えない」
と、一度は家族として迎えたペットを手放してしまう人が多い。
(予期せぬトラブルで断腸の思いで手放す方もいるやろうし、手放した方みんなが悪いとは思ってないよ。それぞれ理由も気持ちもあるからね。)
保護団体の目線になって考えると、
安易に飼ってすぐに捨てられてしまう命。
大量に産ませて、その流通過程で処分対象になる命。
毎日毎日途絶えることなく保護されてくる命。
そひとつひとつの事案と向き合う日々は、想像以上に過酷だと思います。
少なくともこれぐらいの審査をクリアしないと、長期にわたって犬を飼育していくのは難しい。と考えているのだと思います。
行き場を無くして、このまま見過ごせば殺処分されてしまうかもしれない、1匹の犬。
今まで大変な暮らしをしてきたこの子を、一生大切にしてくれる家族のもとに送り出してあげたい。
そんな状況で、
「かわいい犬が欲しいんですけどー?」
みたいなノリで、犬の知識もなく環境も不安定な人がやってきたら、
「いやいや、ぜったいに無理やから。そんな人にこの子を渡せないよ。」
ってなるのは、当たり前ですね。
そんな軽い気持ちでなく、
「日本のペット産業を問題視していて、真剣に保護犬をお迎えしたい!!」と思っていたとしても、やっぱり犬を飼養できる環境が揃っていなければダメで。
志が高くてもスペックが不足していると、実際に問題が起きた時に対処できないからね。
譲渡する側の気持ちで考えると、
「犬を飼うなら、最低限このぐらいはクリアして!!」
って切実な気持ちが伺えます。
保護犬譲渡の審査に合格するには
里親として立候補するのと、転職活動?就職活動?婚活?は似てます。
いかに犬を大切にできるか、そのためにどんな努力をしているか。
この辺をしっかり受け答えできないと、保護団体は不安になります。
「この人、ほんとに一生この子を大事にしてくれるの?」と。
逆に、スペックが多少不足していても
「この人なら犬のために頑張ってくれる。きっと大事にしてくれる。」
と理解してもらえれば、不足分を補うことができる(かもしれない)のです。
私が聞かれたことと答えたことを抜粋したので、団体さんによってはまた違う質問をされることもあるかもしれませんが、よければ参考にしてみてください。
犬を飼ったことないし、里親になったこともない人むけの回答例も併せて残しておきます◎
※あくまでも例なので、自分の生活とかけ離れた回答や、嘘の回答はダメですよ。
・犬の飼養経験
Q[過去に犬を飼っていたことがあるか]
Q[適正な飼養の知識があるか(適切な食事、散歩、トレーニング、衛生管理、定期検診など)]
私Ver.
「実家でずっと犬を飼っていました。ご飯の用意や散歩、トイレの後始末など、お世話も一緒にしていました。お座りやマテなどのトレーニングも、家族みんなで取り組みました。定期検診などは母が病院に連れて行っていましたが、ワクチンの必要性などは理解しています。自分が犬と暮らす場合も、適切な予防をし、医療にかけます。」
初めての人Ver.
「犬を飼った経験はありませんが、子供の頃から犬をと暮らすことが目標でした。家族に迎えるなら保護犬を迎えたいと思っています。現在はネットや書籍などで、犬の飼養について勉強しています。食事の管理やフードの選び方はある程度把握できています。朝晩の毎日の散歩が必要なことも把握していますし、時間の確保も可能です。近所の動物病院も調べていて、定期検診などはそちらを利用する予定です。トレーニングについては、地域のしつけ教室やドッグトレーナーを調べており、最初はそうしたサービスを利用しながら、きちんとトレーニングをするつもりです。」
・家族構成
Q[夫婦どちらかに病気や怪我があった場合、他家族の手助けは得られるか]
Q[出張や旅行などの不在の期間がある場合は、犬はどうするか]
私Ver.
「どちらの家族も中距離の場所に住んでいるので、必要があれば犬の面倒を見てもらえます。基本的には出張のない仕事ですので、犬の面倒を見られない期間はありません。もし夫が出張に行くことがあっても、妻は同伴しません。旅行については、犬と同伴できるところに行きます。犬を残して旅行に行くことはありません。ペットホテルを利用する方もいるとは思いますが、現時点では安心して預けられる施設がないので、利用するつもりはありません。設備や対応がよく犬が快適に過ごせるホテルがあれば、緊急時のみ利用する可能性はあります。」
初めての人Ver.
「家族が遠方に住んでいるため、いつでも手を借りられる環境ではないのですが、近所に友人(兄弟)が住んでいるので、緊急時は犬のお世話を頼むことができます。また、動物病院が運営しているペットホテルが近くにあるので、一時的な対応として、そちらで面倒を見てもらうことができます。万が一、長期の療養が必要になった場合は、犬を連れて実家に帰省しようと考えています。どちらも出張のある仕事ですが、お互いの出張日程が重ならないように調整ができます。どちらか1人は、犬の面倒を見られる環境です。旅行は、犬を連れて行ける場所に行くつもりです。」
・年収、貯蓄
Q[犬の飼養にかかる費用を把握しているか]
Q[無理なく捻出できるか]
私Ver.
「年収は○○円です。毎月かかる費用として3~5万円程度を想定しています。食費や医療費、レジャーや雑費を含む金額です。そのほか、高齢になった場合の医療費やケアにかかるお金として、積立貯金を始めています。ペット保険は現在検討中です。費用は家計に組み込んで考えているので、無理なく捻出できます。」
初めての人Ver.
「年収は○○円です。毎月かかる費用はネットで情報を調べ、2万円程度を想定しています。無理なく捻出できる金額です。最初の数ヶ月は買うものも多いので、もう少し費用がかかると思っています。」
・今後のライフプラン
Q[子供を持つ予定はあるか]
Q[子供にアレルギーが出た場合に、犬はどうするか]
私Ver.
「子供を持つ予定はありません。その分犬を大切にしたいと思っています。もし子供ができた場合、また子供にアレルギーがでた場合は、部屋数の多い住居に引っ越し、生活空間を分けて対応します。その際は犬にストレスがかからないように、1人になることがないように配慮します。また日々の掃除や換気、空気清浄機を活用するなどの対処をします。併せて、子供のアレルギーの改善も善処します。」
初めての人Ver.
「子供を持つ予定です。アレルギーがでた場合は、部屋数の多い住居に引っ越し、生活空間を分けて対応します。その際は犬にストレスがかからないように、1人になることがないように配慮します。また日々の掃除や換気、空気清浄機を活用するなどの対処をします。併せて、子供のアレルギーの改善も善処します。」
※これは突っ込んで聞かれることがあるかもです。
それでもダメだったらどうしますか?とか。
「実家に犬を避難させるとか、信頼できる友人宅で引き取ってもらうなどの対応が考えられますので、万一そういう状況になった場合は、ご相談させてもらってもいいですか?」
と、お願いしておくのもいいかもしれません。
Q[転居や引っ越しの予定はあるか]
Q[転居や引っ越しがある場合、犬はどうするか]
私Ver.
初めての人Ver.
「今のところ、転居や引っ越しの予定はありません。引っ越しをする場合もペット可の住居に引っ越します。引っ越しを理由に犬を手放すことはありません。」
Q[家族の介護などが必要になっても、犬を飼養することができるか]
私Ver.
初めての人Ver.
「夫婦のどちらかが介護が必要になった場合は、デイケアや施設を利用する予定です。そのための保険には加入済みで、費用も確保しています。両方の両親についても同じように、各種サービスを利用する予定です。介護を理由に犬を手放すことはありません。」
まとめ
現状は条件をクリアしていても、将来的にどうなるかわからないこともある。それはみんな同じ。でっかい地震がきて、いろんなことがぐっちゃぐちゃになることだってある。
そうなった時に、犬をどうするか。
これってほんとは、犬をお迎えする前によーくよーく考えておかないといけないんですよね。
保護団体からの質問は「そのへんちゃんと考えてるの?」ってことだと思うんです。
先のことはわからないけど、もしそうなったときは最善の方法を探すし、簡単に犬を捨てたりしない。一生大事にしますって、本気で言えるかどうかって、めちゃくちゃ大事なことだと思います。
保護犬に限らず、生き物と一緒に暮らすのは責任が伴う。
当たり前のことのはずなんだけど、ペットを手軽に購入できる日本では、その当たり前がけいしされているような。もっと命が軽い国もあるから、日本がダメとかじゃないけどね。
もっと良くしていくためには、当たり前のことを当たり前に考えるってことが必要なんでしょうねぇ。
保護犬をお迎えする際の審査は、厳しいと感じることも多いですが、
「厳しいんじゃない、これが当たり前なんだ!」と思えれば、審査クリアに近づくと思います。
犬を飼うことと自分のライフプランを見つめ直す、いい機会になるんじゃないでしょうか。
保護犬を迎えることの素晴らしさや、もふもふの生き物と暮らす楽しさを伝えるのは、とてもいいことだけど。
楽しくて幸せな暮らしのために、自分が支払うものや犠牲になっているものについて、少し想像を巡らせてみてもいいかもねと思うのでした。
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