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「発出」と「発令」の違いとは?

1都3県を対象とした緊急事態宣言が、今月7日にも決定する方針です。今後も政府の動向に注目が集まります。

ところで、菅首相はじめ政府は緊急事態宣言の「発出」と表現しています。一方、民放のニュースでは「発令」と表しているところもあります。

安倍前首相は、緊急事態宣言を「発出」と述べていました。

一方、FNNでは「発令」と報じていますね。この発出と発令、一体何が違うのでしょうか?

実用日本語表現辞典(Weblio)によると、以下のように書かれていました。

発令は法令や辞令、指示などの一定の規則や法律に基づき発される指令を意味する。一方、発出は物事や状態が外に現れることを意味し、意味する範囲が広い点が発令との違いである。また発令では命令としての意味を含み、発出ではそうした意味は含まない。

実用日本語表現辞典(Weblio)

発出の類語としては、「発表」や「通達」が挙げられるとあります。それに対し、発令には命令的な意味があるようです。

さらに毎日新聞の校閲センターが運営する「毎日ことば」には、以下のように書かれています。

「発出」の使い方を載せる辞書は少数です。そのうちの一つ、新明解国語辞典7版は「役所から通達などを出すこと」と説明し「局長通達を発出する」という例文を挙げており、典型的な官庁用語であることがうかがえます。

「発出」 やはりお役所言葉

このように毎日新聞は、「発出」は官庁用語であるとしています。同新聞では、首相発言そのものを書き起こす場合を除き、ほとんどの場合「発出」を「発令」などと言い換えているそうです。

発出はお役所言葉であり、そこにどのような意図があるのかは不明ですが、政府とメディアには表現に関して差異があるようですね。一般的には「発出」という表現はあまり聞かないので、「発令」を使用するのが無難なのかもしれません。

なお、前回の緊急事態宣言の時と異なり、今回はメディアの中にも「発出」を用いているところもあります。

NHKなどは「発出」になっていますね。メディアごとにどちらの語句を使っているのか、比較してみると面白いと思います。

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