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AI株の再点火と金融政策の不透明感

26日の米株式市場では、グーグル親会社のアルファベットとマイクロソフトの株価が大きく上昇しました。両社とも1-3月期の決算が市場予想を上回る内容となり、生成AI関連の投資拡大への期待が高まっています。アルファベットは自社株買いと初の配当実施を発表し、マイクロソフトはクラウド事業とAI関連需要の伸びが業績を牽引しました。

ハイテク各社のAI投資拡大を背景に、関連する半導体株も上昇しました。S&P500種株価指数は2週間ぶりの高値を付けるなど、一見するとAI相場が再び勢いを取り戻したようにも見えます。

しかし、市場心理は依然として不安定な状態にあります。決算発表後の株価動向を見ると、予想を下回った銘柄の下落率が過去平均より大きくなっています。この背景には、FRBの金融政策を巡る不透明感があると考えられます。

3月の米PCEコア指数は前年比2.8%上昇と、市場予想を上回りました。これを受け、FRBが近いうちに利下げに踏み切れるかどうか不透明感が高まっています。市場では7-9月に0.25%の利下げが始まり、年内2回にとどまるとの見方が広がっていますが、年初に期待されていた5-6回の利下げシナリオからは後退しました。リスクは利下げ開始のさらなる遅れです。

問題は、株式市場がこうした金融政策の変化を十分に織り込んでいない点にあります。JPモルガンの分析によると、S&P500種と短期金利先物の連動性が崩れており、利下げ先送りの可能性が高まっているにもかかわらず、S&P500種は年初来7%高となっています。

来週のFOMCでは政策金利据え置きが予想されていますが、パウエル議長が早期利下げに消極的な発言をする可能性もあります。AI相場の再点火には、まだ時間がかかるかもしれません。金融政策の行方を見極めつつ、慎重に投資判断を下すことが肝要です。


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