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【日本の人口危機】過去最大の減少で経済に暗雲、技術革新が未来への鍵

日本の人口減少に拍車がかかっている。総務省が発表した最新の人口推計によると、2023年の日本人の人口は前年比で83万7000人減少し、1億2119万3000人となった。これは過去最大の減少幅であり、少子高齢化と人口減少のペースが加速していることを如実に示している。

人口減少は労働力人口の減少を通じて、日本経済に深刻な影響を及ぼしつつある。20年前には先進7カ国(G7)で一人当たりGDP(国内総生産)が首位だった日本は、今や最下位に転落。少子高齢化の進行で労働力人口が減少し、経済成長の足かせとなっているのだ。

実際、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少が続いており、2022年には7,212万人まで減少した。総人口に占める割合も1990年代の約70%から、60%を下回る水準へと低下している。労働力の減少は企業の人手不足を深刻化させ、サービスの質の低下や事業の縮小を招いている。

少子化の要因としては、未婚化・晩婚化の進行や、経済的な不安定さから子育てを躊躇する若者の増加などが指摘されている。一方で高齢化は、医療・介護費の増大を通じて社会保障費を膨張させ、現役世代の負担を増加させている。少子高齢化は、日本経済の活力を奪う負のスパイラルを生み出しているのだ。

日本の人口減少問題は、アジア諸国との比較でも際立っている。韓国や台湾などの近隣諸国は、日本と同様に少子高齢化に直面しているものの、技術革新や付加価値の高い産業の育成などにより、経済成長を維持している。一人当たりGDPでも、韓国は日本を上回る勢いだ。日本は人口減少への対策が遅れており、国際的な競争力の低下が懸念される。

では、日本は人口減少にどう立ち向かうべきか。鍵を握るのは、イノベーションの促進と生産性の向上だ。AI(人工知能)やロボティクスなどの先端技術を活用し、労働力不足を補うとともに、付加価値の高い製品・サービスを生み出していく必要がある。

また、女性や高齢者の労働参加を促進し、多様な人材が活躍できる環境を整備することも重要だ。出産・育児による女性のキャリア中断を防ぐための支援策や、高齢者の就労を促す制度改革などが求められる。

さらに、海外からの優秀な人材の受け入れも検討すべきだろう。日本は伝統的に移民に対して消極的だったが、グローバル化が進む中で、多様な人材を取り込むことが競争力の源泉となる。高度人材の獲得競争は世界的に激化しており、日本も積極的に参入していく必要がある。

人口減少は、日本の未来を脅かす最大のリスク要因だ。課題先進国とも言われる日本が、いかに人口減少社会を乗り越えていくかは、世界から注目されている。イノベーションと多様性を軸とした、新たな成長モデルの構築が急務だ。日本の未来は、今この時代に生きる私たち一人ひとりの手にゆだねられている。

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