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2024年2月前半日経平均相場の振り返り


①    日経平均チャート

2月前半相場を振り返ると、日経平均は1月末の終値36286円に対し15日の終値は38157円まで上昇した。 

②    日経平均史上最高値

1989年末の史上最高値38915円が視野に入り始めた。
この間の上げ幅は1871円になるが注目するのは8日の743円高と13日の1066円高だ。 

③    ソフトバンクグループ

まずは8日の上げのきっかけはソフトバンクグループの急騰がある。
これは米アームの株価が米国時間7日の23年10~12月期の決算発表を受け、時間外取引で同日の終値から4割上昇したことに起因する。
これにより半導体関連株の上昇に弾みがついた。
そして日本時間8日の取引終了後にSBGの2023年10~12月期連結決算を発表した。
最終損益は9500億円の黒字で、黒字確保は5四半期ぶりとなる。

④    日銀内田副総裁

さらに同日日銀の内田副総裁の発言だ。
内田副総裁は8日奈良県で開いた金融経済懇談会でマイナス金利解除後について初めて言及した。
内容としては、マイナス金利を解除してもその後の利上げペースは極めて緩やかになるとの見通しを示し、そのうえで「マイナス金利導入前に戻すなら0.1%の利上げになる」と解除時の政策金利の上げ幅にも触れた。
内田副総裁も具体的な解除時期は明示せず、講演後の記者会見でも「今後の経済・物価情勢次第」と繰り返した。
マイナス金利とともに大規模緩和の柱である長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)については「あくまで量的緩和の一種」とのいちづけを明確にした。
そのうえでYCCを撤廃しても「いきなり国債の買い入れをやめることはあり得ない」と述べ、国債の買い入れは継続することも明言した。

⑤    ETF

一方、上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れは直近で減っていると指摘し、大規模緩和の修正時に「やめるのが自然」とした。
緩和策を手じまう順番は、まず2%の物価目標の実現が見通せるかの情勢判断が先にあり、リバランスを含めて最も望ましい手法を考えるとした。
「現時点でビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)に陥っていることはない」とも述べ、緩和修正を急ぐ必要に迫られていないとの認識も示した。
そして3月半ばに集中回答日を控える春季労使交渉を「賃金を確認できる重要なイベント」で結果は政策判断の「重要なファクターの一つ」と指摘した。
日銀と市場との対話は詰めの段階に入ったといえる。
13日の日経平均は、1日の上げ幅で1000円を超えるのは20年6月以来およそ3年8カ月ぶりとなる。

⑥    ダウ工業株30種平均

12日の米株式市場でダウ工業株30種平均が過去最高値を更新するなど米株高の流れを受け、海外投資家が日本の半導体関連をはじめとする主力株に買いを入れた。
海外勢の買いは1月より5週連続の買い越しが続いている。

⑦    東証プライム売買代金

この日、東証プライム市場の売買代金は5兆9628億円と東証プライム移行後2番目の大きさということもあり、売買代金全体に占める空売り注文の比率が35.48%と2021年2月15日以来3年ぶりの低水準になった。
株高の勢いが強すぎて短期筋なども積極的に売りを仕掛けにくかったのであろう。

⑧    外国為替市場

外国為替市場でも去年の11月以来の1ドル=150円台に乗せた。
これは、米物価の高止まりを受けた早期利下げ観測の後退に加え、日銀がマイナス金利解除後も低金利政策を続けるとの見方が広がり、日米金利差が拡大した状態が続くとの想定から円売り・ドル買いが膨らんだ結果だ。

⑨    半導体関連株

このように半導体関連株を買わない理由がない状態である。
ただ過熱感は否めない。
東証株価指数(TOPIX)500構成銘柄のうち、ソニーや東京エレクトロンのほかソフトバンクグループ(米アームを傘下に持っている為)など半導体関連株10銘柄を時価総額加重平均で指数化すると22年末からの上昇率は7割となり、4割弱のTOPIX500を圧倒しる。
一方残りの490銘柄の上昇率は3割ほどだ。
資金の集中も顕著だ。
半導体関連10銘柄の時価総額は14日時点で85.5兆円。
東証プライム市場全体(908兆円)に占める比率は9.4%と、過去20年で最も高い水準だ。
そんなご時世に合わせてではないだろうが、日本経済新聞社は東京証券取引所に上場する半導体関連株で構成する「日経半導体株指数」の算出・公表を3月25日に始める。
半導体関連業種に属している企業のうち、時価総額が大きい30銘柄を組み入れる。
当面は毎営業日の終値のみの算出となる。

⑩    テクニカル分析

テクニカル目線から見てみると、
日経225先物は、2月9日に転換のサインとなる十字線に似た形状のロウソク足が出来た。これは、前日8日の高値が36,950円と1月23日の高値36,980円を超える事なく、手前で止まった為、方向性を伺う投資家が増えた事によって形成されたと思う。
通常、転換のサインが現れるとその次のロウソク足が十時線の高値を超えると、上昇傾向に変わり、逆に十時線の安値を超えると、下降傾向に切り替わる可能性が高い。
 翌営業日、13日に37,280円を日中に超えた辺りから急速に上昇トレンドに変わった。十時線の高値37,280円が心理的節目となり、海外投資家の買いが集中したのだろう。
移動平均やMACDから見ても上昇傾向は変わらない為、この勢いで史上最高値である38,915円も超えていくのではないだろうか。

⑪    ベネフィット・ワン

最後に今月のトピックとして2つお伝えしよう。
1つは去年記述したベネフィット・ワンへのTOBは第一生命が買収することで決まった。TOB価格は2173円で買収総額2920億円だ。
今後、合意をもとに進むM&Aに、さらに高い価値を提供できると考える第三者が搭乗やすくなり、企業価値の向上策を競り合うことになる。M&Aが活性化すれば、日本企業の成長力も高まるであろう。

⑫    損害保険大手4社

もう一つは金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたことがわかった。
政策株の保有は安定株主を望む取引先への営業支援の一環で、結びつきの強さを示す、一方提案内容の優劣に関係なく政策株の保有比率で保険契約の配分が決まることも多く、金融庁は健全な競争環境をゆがめていると問題視しいている。
金融庁は昨年12月、企業向け保険料を事前調整したとして東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社に保険業法に基づく業務改善命令を出した。
2月末に再発防止策などを盛った業務改善計画の提出を命じており、その中で現在の政策保有株の削減計画と見直し案の報告を求めているとのこと。今後の動向も追っていきたい。


 

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