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2023年6月後半日経平均相場の振り返り

まとめ


①    日経平均チャート

6月後半相場を振り返ると、19日に高値33772円を付けその後調整に入った。
27日の東京株式市場で日経平均株価は4日続落し32538円で引けた。
日経平均が4日続けて下げるのは今年に入って初めてで、2022年12月中旬に5日続落して以来となる。

②    リバランスとは

四半期末が間近となり機関投資家のリバランス(資産の再配分)の売りへの警戒感から、需給悪化を先回りした売りが優勢となり、積極的な買いは手控えられた。
もっとも下値では押し目買いが入り相場を支えた。
27日日経平均は一時391円安まで下げたものの、切り返し前日比160円安まで戻し32538円で引けた。
この日の安値32306円は、25日移動平均線32273円に33円と迫ったが、その後は反発しており上昇波動を維持していると言える。

③    マザーズ指数

そして21日には東証マザーズ指数が864.77ポイントで取引を終えた。
これは2022年1月以来、1年5カ月ぶりの高値である。

④    循環物色とは

このところの日本株は大型株が主導し新興株は出遅れていた。
この新興株高は、個人投資家が大型株の利益確定し出遅れていた新興株に資金を振り向ける、いわゆる「循環物色」の動きが広まったと言える。

⑤    野村「早期償還条項付リオープン・ジャパン2301」

蛇足となりますが、高値を付けた18日には、面白い話があったので一つ紹介しておこう。
それは野村アセットマネジメントが今年1月に設定した日本株対象の投資信託「早期償還条項付リオープン・ジャパン2301」を繰り上げ償還すると発表したものである。
この「リオープン・ジャパン2301」は外需関連企業やインバウンド(訪日外国人)消費の恩恵を受ける企業の中から割安な銘柄に投資する投信で当初設定額は1047億円であった。
リオープン・ジャパンの約款には基準価格が12000円以上になった場合に、組み入れを短期公社債などに入れ替えたあとで償還すると定めていた。その基準価格は16日に12028円まで上昇し純資産残高は1209億円となった。
約5年間の運用を予定していたが、足元の日本株の急上昇で異例のスピード償還となった。
 
19日は日経平均株価が前週末比で小高く始まった後下げに転じ、下げ幅は一時400円を超えた。
「市場外で同ファンドからの売りを受けた証券会社が取引時間中に売りを出し、下げにつながったのではないか」との話があった。
つくづく相場とは色々な要素が絡み合うものだと実感する。

⑥    ヤマダHD×三菱自動車

市場の話題として注目するのはヤマダホールディングスである。
ヤマダHDは7月から三菱自動車の電気自動車(EV)を販売する。
法人向けから入り、将来は個人向けにも広げる。
ヤマダは全国に1000店を構えるが、まずは首都圏の5店舗で売り、取り扱い店舗は2023年秋までに11店舗に広げ、順次拡大する。修理や車検もヤマダが請け負う。
ヤマダは値付けについて「通常の家電製品と同様に考えていく」とし、メーカー側からのリベート(販売奨励金)や他の商品との利益の見合いなどを考慮に入れて値引きするとしている。

⑦    スマートハウスとは

EVを「新しい家電」と位置づけ将来は住宅や太陽光発電などと組み合わせ、EVから電力を供給し家電をつなぐ「スマートハウス」の拡販にもつなげる。
メーカー系販売店とは一線を画した売り方でEV需要を掘り起こす方針である。
この異業種参入で国内EV普及に弾みがつく可能性がある。

⑧    「年収の壁」問題

もう一つは「年収の壁」問題の解消である。
年収の壁とは、一定の年収を超えると社会保険料などの負担が生じて手取りが減るという問題であるが、政府は雇用保険料を財源に一人最大50万円の企業向け助成金を新設し解消しようとするものである。
現行制度は従業員101人以上の企業で月収88000円(年収換算で約106万円)以上の場合、社会保険料の負担が生じる。
手取りが減るケースがあるため、月収がそれを超えないよう働く時間を調整する人がいる。
これが「年収の壁」といわれるものである。
今回の助成金を設けるのは、2025年に予定されている年金制度改正までのつなぎ策であるが、一定の年収を超えると手取りが減る「壁」の解消には不公平感を根本からなくす社会保障制度の大胆な見直しが必要であることは間違いない。

⑨    富裕層と収入格差

野村総合研究所では年収の壁による働き控えの必要がなくなった場合の経済効果として、労働者の収入増や就労時間の延長による追加生産などで経済効果が8.7兆円におよぶと試算している。

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