$COIN 単なる仮想通貨取引所ではないCoinbase①

先日IPOし、ARKが買い集めているCOINの分析を行いました。トウシドリはこの企業をただの仮想通貨取引所として見てしまうとこの企業の価値を見誤ってしまうのかなと分析してみて思っています。

会社概要

Coinbaseは仮想通貨の取引所を運営する企業です。仮想通貨の取引手数料が売り上げのほぼ全てと現在はなっています。Wikipediaでは以下のように説明されています。

コインベースとして知られるコインベース・グローバル社は、正式な物理的本部を持たずにリモートファーストで運営される暗号通貨取引所プラットフォームを運営するアメリカの企業である。同社は2012年にBrian ArmstrongとFred Ehrsamによって設立され、2021年3月時点では、取引量で米国最大の暗号通貨取引所となっています。
2021年4月14日、Coinbaseは直接上場によりNasdaq取引所に上場した。
引用：Wikipedia

事業概要

COINは下図のように個人投資家、機関投資家、エコシステムパートナーに対して、仮想通貨取引や、保管サービス、技術提供等を行い収益を上げています。単なる取引所以上のサービスを提供しています。

具体的には下図のプロダクトを提供しています。

出所：COIN

S-1によれば「現在、当社のプラットフォームにより、100カ国以上の約4,300万人のリテールユーザー、7,000の金融機関、115,000のエコシステムパートナーが暗号経済に参加」しているようです。

取引に伴う手数料が売上の90%以上を占めており、COINは取引量で米国最大の暗号通貨取引所となっています。Coinmarketcapの情報によれば、COINはExchange Scoreで3位であるものの、取引ボリュームは2021/4/28時点の24h以内でのボリュームで見ると10以下となっています。取り扱いコイン数も58と比較的に少ないものとなっています。

出所：Coinmarketcap

The Headlineは次のようにCOINおよび仮想通貨の事業について説明しています。これがCOINが他取引所に対し取引ボリュームや取り扱いコイン数で劣っている理由かと思います。

以下のような事業は、現時点で米国の規制によって禁止もしくはグレーな取り扱い（明確にルールが決まっていない）となっている。
・自社トークン発行
・仮想通貨のレバレッジ取引（これが取引高が増える要因）
・疑似株式トークンの取り扱い
これらは見込まれる収益が大きい事業であるものの、Coinbaseは厳格に規制に従うことで、いずれの事業も展開していない。
出所：The Headline

これらを踏まえると、COINは法規制を遵守する形で事業を運営しているにも関わらず、比較的に大規模の取引量を持ち、また上場が可能であり、そして比較的に企業や金融機関の資金流入が期待しやすいのではないかと考えられます。COIN自身もS-1で下記のようにアドバンテージとして法令遵守について述べています。

当社は、伝統的なセキュリティと規制遵守の文化により、信頼できるプラットフォームを提供しています。当社は100カ国以上でサービスを提供している金融テクノロジープロバイダーであり、プラットフォームのセキュリティ違反によって顧客が資金を失ったことがない、最も長く運営されている暗号プラットフォームの一つであることを誇りに思っています。また、当社は以下の業務に従事するライセンスを取得しています。また、当社は米国のほぼすべての州で送金および仮想通貨事業に従事するライセンスを取得しており、国際的にも一部の管轄地域でライセンス取得を進めています。
引用：S-1

トウシドリはこのCOINだけが持つ、米国での上場と法令遵守にプライオリティを置く姿勢という二つの強み、差別化要素が今後の機関投資家という手堅い収入源を惹きつける強い要素であり、そして、将来的には政府・自治体というのデジタル通貨などにも関わるポテンシャルとなるのではないかと考えています。

今後の事業展開

現在COINはトランザクション収入が収入の96%以上を占めています。しかしS-1によれば下図のように「2018年後半から、より広範な暗号経済にフルサービスの多様なプラットフォームを提供することを目的として、Store、Stake、Borrow & Lendなどの一連のサブスクリプション製品およびサービスの立ち上げに注力」しているようです。そして、「将来的には、エコシステム・パートナー製品であるDistribute、Build、Payからの収益も、固定料金や製品・サービスの使用量に基づいて増加する」と考えているようです。