2023/3/25 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):3.380%
アメリカ10年BEI:2.22%
実質金利:1.16%

ニューヨーク市場は前週比で小幅に上昇しました。イエレン財務長官の「預金保険を全ての預金に拡大することは検討されていない」「正当化される場合、当局には預金保護で追加措置を講じる用意がある」という発言で株価が上下しました。FOMCでは0.25%の利上げが全会一致で決定され、年内に0.25%の利上げがあと1回あることが示唆されました。

金曜には一時ドイツ銀行が-15%、UBSが-8%下げるなど、銀行への不安は収まっていないようです。また、ファーストリパブリック銀行の株価も続落しています。

セクターの動きはまちまちとなり、公益・不動産セクターが下落しています。

(考察・感想)
銀行システムへの懸念が高まり、イエレン財務長官などの要人発言で相場が動いています。銀行システムへの懸念により、市場は不安になって年内の利下げを想定し、政策金利を維持するというFRBの予想と乖離が生まれています。しかし、政府による資金供給や買収により不安は徐々に解消され、FRBの予想に近づいていくと思います。

後述するパウエル議長の発言にもあるように、引き続き雇用は逼迫し、サービスのインフレは十分に緩和されていません。S&P500企業のforward EPSは漸減し、金利やインフレ率が高い中で企業業績の改善も見込みにくい状況です。銀行システムの問題のように、高金利の中で予想しなかったような事象も起こりやすいのではないでしょうか。株価は良くて横ばいだと思うので、株価が大きく下がるようなことがあれば投資比率を上げたいと思います。

先進国インデックス 20%
現金(円・ドル)80%

3月FOMCの結果について

3月FOMCでは0.25%の利上げが全会一致で決定されました。パウエル議長の会見要旨は以下となります。

・経済と銀行システムの信用を守るため確固たる行動を行い、こうした行動は銀行システムの預金が保護されていることを証明する
・労働市場は依然として非常に逼迫している
・FOCM参加者は年内の利下げは見込んでいない
・住宅を除く中核的なサービスインフレに緩和の兆しはまだない
・インフレ率を2%まで低下させるのに十分な引き締め政策が必要

https://jp.reuters.com/article/powel-idJPKBN2VO1PG
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22CNM0S3A320C2000000/

ドットチャートの2023年中央値は5.125%と前回と変わらずでした。また、2024年以降のドットは上下に大きく分散し、Longer runは2.5%で維持されました。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20230322.pdf

FOMCの資料によると、2023年のGDP予想は下方修正(0.5%→0.4%)、失業率予想は上方修正(4.6%→4.5%)、コアPCEインフレ率予想は上方修正(3.5%→3.6%)と小幅な修正となりました。

(考察・感想)
銀行システムへの不安が発生したことにより、利上げ幅を抑えつつ不安を静めるように気を配った内容のFOMCでした。Fedwatch toolからは、市場は年内の利下げを想定していて、FRBの想定(2023年末に5.125%)と乖離が発生したままなことが分かります。FRBと市場参加者の見通しが乖離していると、相場は不安定な状況が続きそうだと思います。

来週の主な予定

3/21~22 FOMC
3/31(金)アメリカPCEデフレーター

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