2022/10/29 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):4.016%
アメリカ10年BEI:2.51%
実質金利:1.506%

ニューヨーク市場は前週比で上昇しています。今週はハイテク株のさえない決算が目立ちましたが、S&P500の中では71%がEPS予想を上回り、68%が売上高予想を上回るなど、全体的には良好な決算が続いています。前年比のアメリカPCEデフレータは6.2%(予想 6.3%)、PCEコアデフレータは5.1%(予想 5.2%)と予想をやや下回りました。また、ECB理事会では0.75%の利上げが行われ、TLTRO3の条件変更が決定されました

決算に左右され、セクターはまちまちでした。

(考察・感想)
堅調な決算の中、ハイテク株はコロナの反動もあり厳しい結果になったかと思います。決算内容を見ると、MicrosoftやAppleはそこまで悪くないと思いますが、AmazonやMetaなどは低調な株価推移となりそうです。

今週は投資比率を10%上げて40%としました。エネルギー価格の低下、経済指標の悪化から、インフレがピークアウトする可能性が高いと思います。インフレのピークアウトが見えれば利上げペースも調整され、安心感が出そうです。雇用については堅調な推移が続いている(賃金インフレが継続している)ため、アメリカ雇用統計に注目です。個別株ならMicrosoftかAppleがよさそうですが、しばらくは業績があまり良くなさそうなので先進国株式に投資としました。

中国集団指導体制の崩壊と台湾

中国では、党人事を決める第二十期中央委員会第一回全体会議(一中全会)が開かれ、最高指導部の常務委員7人が選出されました。結果としては、共産党青年団グループが排除され、習近平に近い人物だけで固めた人事となりました。常務委員の李強、蔡奇、丁薛祥、李希、王滬寧、趙楽際は習近平氏の側近や元部下です。共産党青年団の胡春華副首相は中央政治局員24人にも入れず降格となるなど、習近平と距離を置く人物は一掃されました。習近平は「68歳定年」の慣例を覆し3期目(2028年まで)の国家主席となり、最長2期10年までというルールも事実上撤廃されました。

台湾問題で習近平は「完全な統一は必ず実現できる」と台湾統一を強調しました。これに対して、アメリカのブリンケン国務長官は中国が台湾統一に踏み切る可能性があると言及しました。「(台湾を巡る)現状をもはや受け入れることができず、かなり早期の台湾統一を追求する決断をした」と発言しています

(考察・感想)
習近平がさらに権力を固めたことで、今まで通り経済より政治が優先され、株価の低迷が続きそうです。学習塾サービスが非営利事業にされたように、どの事業が突然なくなるかわからないため、中国は投資しにくい市場になっていると思います。ゼロコロナ政策による経済への悪影響も続き、中国の比率が高い新興国株式指数は引き続き投資できない状況だと思います。

台湾進攻の有無や時期は断定できませんが、習近平体制がより強固になったことで、台湾進攻の可能性は高まったと思います。台湾有事の場合、日本は米軍基地があり地理的にも近いのでかなりの混乱が予想されます。今後は台湾で何か起きる可能性は常にあると考えておくほうが良いかと思います。

来週のポイントと見通し

1.金利動向
アメリカ長期金利(10年)の推移に注目です。以下は日足チャートです。

2.ウクライナ情勢とエネルギー制裁
ウクライナ東部ハリコフ方面と南部ヘルソン方面で、ウクライナが攻勢を維持しています。ドネツク州バフムート周辺でも戦闘が続いています。エネルギー関連の制裁に注目です。

3.決算発表
主要企業の決算発表予定は以下となります。
11/1(火)AIG Uber
11/2(水)CVS Health
11/3(木)Paypal Starbucks Square

見通し
短期では、インフレが継続しつつ各国中銀の引き締め姿勢がはっきりとし、株価が大きく上昇するのは難しい状況かと思います。エネルギー関連の制裁が強化されたり、景気後退が本格化すると、株価の下落リスクがありそうです。逆に、もしインフレが落ち着くと株高になり、為替はドル高の巻き戻しがありそうです。

長期では、投資余地のあるポートフォリオとしています。インフレと利上げの様子を見て少しずつ投資比率をあげていければと思います。

先進国インデックス   40%
現金・国内債券 60%

来週の主な予定

11/1〜2 FOMC
11/1(火)アメリカISM製造業景況指数
11/3(木)イギリス中央銀行政策金利
11/3(木)アメリカISM非製造業景況指数
11/4(金)アメリカ雇用統計


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