2022/12/17 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):3.490%
アメリカ10年BEI:2.13%
実質金利:1.377%

ニューヨーク市場は前週比で下落しています。FOMCでは0.5%の利上げが決定され、2023年末の政策金利予想中央値は5.1%でした。また、アメリカ消費者物価指数(CPI)は予想を下回りました。

消費者物価指数(CPI)[前年比] 前回7.7% 予想7.3% 結果7.1%
消費者物価指数(コアCPI)[前年比] 前回6.3% 予想6.1% 結果6%

ECB理事会では0.5%の利上げが発表され、ラガルド総裁は次回以降3回にわたり0.5%の利上げを続ける可能性を示唆しました。イギリス中央銀行も0.5%の利上げを発表しています。

セクターはおおむね下落、エネルギーセクターのみ上昇しています。

(考察・感想)
ECBとFRBの利上げ幅は予想通りでしたが、市場が期待するハト派的な姿勢はどちらにも見られませんでした。利上げの打ち止めが近くなってきた中、市場の関心は景気の減速度合いにあると思います。FRBやECBがインフレ退治の姿勢を崩さないため、景気減速への懸念から上値は抑えられそうです。

中国では北京でコロナ感染が拡大しているものの、検査を行わなくなったので感染状況が把握できない状態です。ゼロコロナ政策が順調に緩和できるかどうか、状況の推移をみておきたいところです。

12月FOMCの結果について

12月FOMCでは0.5%の利上げが全会一致で決定されました。パウエル議長の会見要旨は以下となります。

・実質可処分所得の低下や金融引き締めにより個人消費の成長が鈍化した
・住宅市場は住宅ローン金利上昇により著しく弱まった
・求人需要が労働者の供給を大幅に上回る状況が続いている
・(0.5%の成長率でも)経済成長を続けるとの見込みがある限り、リセッションとはいえない
・利下げについては検討していない
・来年は2月の会合以降0.25%ずつの利上げをする方向か?→まだ方針は決めていないが、おそらくそうなると思う

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DZP0T11C22A2000000/

ドットチャートはやや上振れ、中央値では2023年に5.125%まで利上げが見込まれています。また、2024年以降のドットは上下に大きく分散し、Longer runは2.5%で維持されました。今回のドットチャートは以下となります。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20221214.pdf

(考察・感想)
FOMCの資料をみると、2023年のGDP予想は下方修正(1.2%→0.5%)、失業率予想は上方修正(4.4%→4.6%)、コアPCEインフレ率予想は上方修正(3.1%→3.5%)となり、さらに経済の減速が懸念される予想になったと思います。

Fedwatch toolからは、市場は2023年中に4.75%までの利上げしか予想しておらず、FRBの想定(2023年に5.125%)と乖離が発生しています。FRBがインフレを定着させないことを第一に考え、過去のデータを見て保守的な予想に傾いている一方、市場は将来を見てインフレが落ち着き利下げとなるはずだと楽観的になっているようです。FRBが保守的に想定するのは仕方がないと思いますが、将来の金融政策に幅を持たせた発言をするなどして、市場の信認をどう得ていくかが課題となりそうです。

来週のポイントと見通し

1.金利動向
アメリカ長期金利(10年)の推移に注目です。以下は日足チャートです。

2.ウクライナ情勢とエネルギー関連の制裁
戦況は膠着しています。ウクライナ東部ハリコフ方面や、ドネツク州バフムート周辺で戦闘が続いています。

見通し
短期では、インフレ指標や利上げペースが株価を左右する状況が続きそうだと思います。エネルギー関連の制裁が強化されたり、景気後退が想定より大きかったりすると、株価の下落リスクがあるかもしれません。インフレのピークアウトとともに、ドル高の巻き戻しがありそうです。

長期では、アメリカのインフレにピークアウトが見られ、利上げペースの緩和とともに株価が上がっていく可能性が出てきたように思います。先進国インデックスで60%の投資比率としています。

先進国インデックス 60%
現金・国内債券 40%

来週の主な予定

12/19~20 日銀金融政策決定会合
12/23(木)アメリカPCEデフレーター


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