2022/11/5 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):4.163%
アメリカ10年BEI:2.48%
実質金利:1.683%

ニューヨーク市場は前週比で下落しています。FOMCでは全会一致で0.75%の利上げが決定されました。FRBパウエル議長は「利上げの停止についての議論はかなり時期尚早だ」と発言しています。また、イギリス中央銀行は、政策金利を0.75%引き上げ3%としました。

アメリカ雇用統計では、非農業部門雇用者数は予想を上回りました(予想19.1万人 結果26.1万人)が失業率は3.7%に上昇しました。雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が43万7000件増の1072万件と堅調でした。

NASDAQが下落し、一般消費財・コミュニケーション・テクノロジーセクターが下落しています。

(考察・感想)
FOMCでパウエル議長のタカ派的な発言があったこともあり、週間で株価は下落しています。雇用統計はまちまちな内容だったので、雇用については今後も様子をみていきたいと思います。ISM非製造業景況指数(価格指数)の推移も示唆しているように、インフレは落ち着いていく可能性が高そうです。下記のグラフは3か月ずらしたISM非製造業景況指数(価格指数)とCPIの推移です。

11月FOMCの結果

11月FOMCでは市場予想通り0.75%の利上げが決定されました。FOMC声明文では「目標誘導レンジの将来的な引き上げペースを決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する。」と利上げによる影響を考慮するというハト派的な表現がされました。

一方、パウエル議長の会見では「労働市場や消費者物価指数(CPI)の状況を踏まえると、9月の会合で示した到達点よりも高い水準まで利上げする可能性を示唆する。」「利上げの停止について考慮するのは時期尚早だ」との発言があり、これらの発言はタカ派と受け止められました。

また、「民間企業全体で報酬は減っているが、労働市場は過熱している。労働需要が落ち着く兆しを探しているが、本格的な鈍化はみられない。」「今回は賃金はインフレの主因ではないと考える。賃金とインフレのスパイラルも見られない。」と労働市場と賃金についても言及しています

(考察・感想)
FRBは引き締めを行いながらバランスを取ろうとしていると思います。資産価格の上昇がインフレを助長してしまわないように、タカ派的な発言も織り交ぜながら対応しています。声明文がハト派的な表現だったので、FOMC議事要旨もハト派的な表現となる可能性がありそうです。ターミナルレートについては「9月に想定していたよりも高くなる」とのことで、9月FOMC時点の2023年に4.75%という想定を超えると思われます。12月FOMCで0.5%、2023年の早いうちに0.5%の利上げが行われると4.75%より少し高い5%となります。

来週のポイントと見通し

1.金利動向
アメリカ長期金利(10年)の推移に注目です。以下は日足チャートです。

2.アメリカ消費者物価指数(CPI)
CPIは予想8%、コアCPIは予想6.6%と引き続き高い数値が予想されています。

3.ウクライナ情勢とエネルギー制裁
ウクライナ東部ハリコフ方面と南部ヘルソン方面で、ウクライナが攻勢を維持しています。ドネツク州バフムート周辺でも戦闘が続いています。エネルギー関連の制裁に注目です。

見通し
短期では、インフレが継続しつつ各国中銀の引き締め姿勢がはっきりとし、株価が大きく上昇するのは難しい状況かと思います。エネルギー関連の制裁が強化されたり、景気後退が本格化すると、株価の下落リスクがありそうです。逆に、もしインフレが落ち着くと株高になり、為替はドル高の巻き戻しがありそうです。

長期では、投資余地のあるポートフォリオとしています。インフレと利上げの様子を見て少しずつ投資比率をあげていければと思います。

先進国インデックス   40%
現金・国内債券 60%

来週の主な予定

11/10(木)アメリカ消費者物価指数(CPI)

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